無限のファンタジア @games版
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過去をさかのぼって・・・・

「ごめんな。こんな茶番につき合わせて。」

にっこりと笑いつつそんな事を言いながら魔方陣を作動させるハイス。

「いいですよぉ。これくらい。」

顔立ちがまだ子供のような顔で微笑むフェイ。

「じゃ、いくぜ。」

魔方陣が強く光だしフェイを光が包む。

「いってきますねぇ。」

赤い髪が持ち上がった瞬間フェイの体が浮き、次の瞬間には消えた。


フェイが飛ばされた先は白い城壁で作られた綺麗な城の中庭だった。

降りたところの横には1人の少女がいた。

「あなたは・・・・?不法侵入者ですか?」

金の眼、ハニーゴールドのロング、小さな耳。

眼と髪の色以外はユリナの小さい頃だと検討はついた。

しかし、やはり眼の色が変わるとは思えないのでそうは思わなかった。

「違いますよぉ。私はフェイと申すものですぅ。」

フェイは自己紹介をしながら頭を軽く下げる。

「私は・・・」

少女は名乗ろうとしたのだろうが、止まった。

「おい!こっちの方だ!変な光が見えたのは!」

「急げ!姫がまだ遊んでるかも知れん!」

兵氏達の罵声が聞こえる。

「・・・・私の部屋で話しましょうか。」

少女は部屋までフェイを連れて行った。


「ふぅ・・・まだ名乗ってなかったね。」

少女が話を切り出す。

「私の名前は『ユウスレスカ・リナ・ヴェスティアリル』と言います。」

そう名乗った少女はぺこりと軽く頭を下げた。

フェイは記憶をさかのぼって思い出した。

『私の名前って面倒だから縮めてるのよ。本当の名前はね・・・・』

「ユウスレスカ・リナ・ヴェスティアリル・・・ユリナ・ヴェステル・・・?」

フェイが1人で呟くのを不思議そうに見るユウスレスカ。

「どうしたんですか?私の名前・・・・やっぱりヘンですか?」

「え?ううん、そうじゃないんですよぉ。」

一瞬だけためらったが、フェイは続けた。

「ちょっと名前が似てる人がいたものでぇ、名前の区別しないとなぁ・・・・なんてぇ。」

「ふふっ、面白い人ですね。」

2人ともクスクスと笑った。

「フェイさんって冒険者ですか?」

ユウスレスカがいきなりたずねてきた。

「そうねぇ。ギルド長でもあるのよぉ。」

フェイがそう得意げに言うとユウスレスカの目がきらきらと光る。

「じゃあ、じゃあ行きたい場所があるんですけどついて来てくれませんか?」

少しフェイは迷った。

この子はさっきの兵の話だとこの城の姫になる。

そんな子を連れ出して問題ないのかと。いや、あり過ぎる。

もし見つかったら処刑台行きだ。

だが、こんな眼をして頼まれたら・・・・


結局フェイはついて来てしまった。

そこは城下町からさほどはなれていない場所にある小さな洞窟だった。

中はさほど暗くなく、難なく一番下まで行ってしまった。

「洞窟なのになんでこんなに明るいんだろうかなぁ・・・」

フェイは疑問を感じていたが、ユウスレスカはそうでもなかった。

今の状況で興奮しているのだろう。

すると、ユウスレスカが大声で呼んで来た。

「ここに何かありますよぉ~!」

近寄って見ると、フロストフォレストのあの龍の額にあった石と同じものだった。

「宝探し成功っと~。」

ユウスレスカが何のためらいもなくとろうとした時、フェイが止めた。

「こんなどす黒い石は初めて見るわ・・・・触らない方が良いよぉ。」

「そ、そうなんですか?じゃあやめておきます・・・」

そう言うと、2人は降りてきた道を上り始めた。


町に戻るとひどく騒がしい。

「モンスターが出たぞー!!」

「逃げろー!!」

そんな声と悲鳴、モンスターの大声が聞こえる。

「どうしたの?何か・・・」

ユウスレスカが聞こうとした瞬間、フェイは首の後ろを叩き、気絶させた。

「ごめんね・・・・巻き込んじゃ悪いからねぇ。」

城の中庭まで走ってユウスレスカを置いてまた城下町へと降りて行った。

だいぶ減ったようだが、兵達が何人も倒れている。

その先には巨大なミノタウロス(牛人)がいた。

そこに、たった1人で戦う双剣士・・・・ではなく二刀流で戦う少年がいた。

ハイス・ヴァイスハイトだった。

ミノタウロスもだいぶ斬られている。

しかし、1人で戦ったからであろう。だいぶ疲れている。

殴りかかってきたミノタウロスの腕を台にして顔へと切り込もうとした。

「これで終わりだぁー!!」

しかし、角でガードされ、そのまま殴り飛ばされた。

「ぐっ・・・・」

まだ幼い体。だが致命傷ではないようだ。

密かに詠唱をしていたフェイは家の影から出てミノタウロスに1発打ち込んだ。

「クラッシュ!!」

爆破ではなく、ミノタウロスの体が弾け飛んだ。


ユウスレスカが起き上がった時には夕方になり、町のモンスター騒動もおさまっていた。

「あれ・・・街の外にいたのに何でここに・・・」

「疲れてあの後寝ちゃったんだよぉ。だからここまで運んであげたのぉ。」

そう言うフェイをよく見ると、夕日が半分透けて見える。

「フェイ・・・さん?体が・・・」

「透けてる?だったらもう帰る時間かぁ・・・」

微笑みながらフェイは軽々しく言う。

「短かったけど楽しかったよぉ。じゃ、いつ会うかはわからないけど、またあお・・・」

最後の言葉を言う前にフェイは消えてしまった。

「フェイさん、ありがとう・・・・」

ユウスレスカは1人、部屋の中で泣いた。

夕日の差し込む部屋の中で、金色の目から大粒の涙を流しながら・・・・


帰ってきて、3日目の午後の事だった。

ユリナがいきなり尋ねてきた。

「ねぇ、フェイってさ・・・・ずっと昔に会った事ない?」

フェイはビクリと一瞬だけ動いた。だが、振り向いて一言言った。

「そう~?他人の空似じゃないかなぁ?世の中には自分とそっくりな人が3人は入るって言うしw」

笑いながら、少し口元がひくついてるのは別として。

「そっか。フェイが時空を飛ぶ事できないしね。」

などと笑いながら戻っていった。

その後姿を見ながら、フェイは1人緊張が解けたかのようにため息をついた。

いざ、フロストフォレストへ!

冷気が漂い、木々は氷つき、ダイヤモンドダストが起きそうな位の冷気を発するフロストフォレスト。

その森の冷気が日々増してきて、一番近い町での気温が5度も下がっているという。

その森の入り口に3人の姿が見える。

ユリナ、きらる、まさの3人だ。

3人の青、黒、赤黒い髪がつめたい風でなびく。

「さ~て、行こう。」

ユリナが景気付けに拳を突き上げる。

しかし、2人はちょっとそれには気乗りがせず先には行っていった。

「ちょ、ちょっと~」

ユリナが少しオロオロしながら走って追いかける。


中は暗く、一寸先さえ見えなくなりそうなくらいだ。

太陽はまだ高い。なのに少しも入ってこない。

だが、氷がクリスタルのように光り、少しはわかる。

「ランタンに火をつけましょう。見えないですし。」

まさがそう言ってマッチに火をつけようとした時だ。

「ダメ。火を起こすと空気が膨張するわ。」

ユリナが少しきつめの言葉で止める。

「あ・・・あぁ、ごめんなさい。」

まさがランタンを引っ込める。

「じゃあどうするんだ?俺は大丈夫だが・・・」

きらるが前を見ながら素っ気無く問いかけてきた。

「雷を使いましょう。私が持続的に出すから。」

「わかった、じゃあ行くぞ。」

ユリナの電気であたりが広く見える様になった。

それでも不安なのできらるに精神を集中してもらう事にした。

きらるは耳がよく、数km先の音も聞こえるそうだ。

「・・・何かいるぞ。」

氷・・・・だけの塊りが動いている。

不思議そうに3人は見ていた。すると、その塊りは強力な冷気を吐き出し、突進して来た。

「ちっ・・・足が・・・これじゃあ動けない!」

ユリナは咄嗟に木の上に昇っていたが、2人は反応出来なかった。

「3秒だけ腕だけで応戦して!」

2人は剣を構え、受身の体勢を作った。

しかし、3秒とは言ったものの1秒かからないうちに足の氷が解け、2人は動ける様になった。

「ちょっ・・・あつっ。」

まさが顔をゆがめる。少し火が強かった。

それを見ていたかのように、まさに塊が突進して行く。

「なめるなぁっ!」

きらるの青い眼が、狂気混ざりの鋭い眼をしている。

きらるは目にも止まらぬ勢いでまさの前に立ち、火炎を纏った剣で一刀両断した。

「ふぅ・・・大丈夫か?」

「え・・・あ、はい。」

まさが少し驚いた顔できらるを見る。

「ほらほら、ここで立ち止まってたら氷ついちゃうよ。」

ユリナが少し笑うような顔で2人を待つ。

あわてて2人がユリナに駆け寄る。


入って数時間。

いつの間にか冷気を感じない、とても広いホールに来ていた。

真ん中には一本の氷の柱がある。

その中に青い、冷たさを感じさせる光を発する石を見つけた。

「これだと思う?」とユリナ。

「多分これだろ。」ときらる。

「これじゃないような・・・」とまさ。

3人が考え込むと、風1つ吹かないせいか。

沈黙が長々と続く。

「面倒だ、ブッ壊すぞっ」

そう言って、きらるが剣を振りかざしたその時だ。

剣が地面に突き刺さり、足が払われて、こけた。

「って~・・・・何すんだよ!」

きらるが足を払った本人に怒鳴りつける。

「これは属性の結晶。通称『冷酷なる神の涙』。」

ユリナが2人の驚く顔を気にせず、説明を続ける。

「属性の結晶と言ってもそこらに売ってあるあんな物とは比較出来ないわ。

これを解き放てば氷河期に逆戻りよ。」

「そ・・・そんなにすごいんですか?」と、まさが確認する。

「そうね・・・けど、これの封印は解けてないわ。他の何かがこの原因だと思う。例えば・・・・」

きらるの声にならないような叫び声がかすかに聞こえる。

「・・・後ろにいるドラゴンとか?」

2人が振り向くとそこには青い鱗と肌をしたドラゴンがいた。

頭には黒く光る物体がはめ込まれていて、とてもじゃないが届く位置ではない。

「あれ?きらるは?」

ユリナがたずねた時にはきらるは白龍を召還し、交渉しようとしていた。

しかし、それもむなしく終わったようだ。きらるとその竜は氷付けにされてしまった。

「くっ・・・・2人でこいつをか・・・?」

「しかなさそうね・・・あの石の光・・・尋常じゃない力を感じる。」

氷ついたきらるを滑らせ、ホールのはじっこの方に寄せた。

「さ~て、暴れるわよ~!」

「はいさっ!」

と、2人の掛け声が終わった瞬間、ドラゴンがきらるを凍らせた息を吹きかけてきた。

2人は素早くそれを避け、左右に別れた。

「どうします?!」

「足を斬ってこかすのよ!」

一瞬の隙も逃さずドラゴンの両足を斬る。

地面が揺れるほどの大きな声を出しながらドラゴンは倒れた。

「!!」

そこまではよかったが、それで尻尾が自由になり、まさを吹き飛ばした。

「がっ・・・」

「まさ!!」

左から巨大な騒音が聞こえる。またもや尻尾を大きく振り回してきた。

さすがに同じ手は喰わなかったが、まさに大きなダメージを残した。

ユリナはまさを心配そうに見ながらも、ドラゴンの頭へと回り黒い光る物を取り除いた。

すると、ドラゴンはみるみる小さくなり、かわいらしい子供のドラゴンへと戻った。

「大丈夫?!」

ユリナがまさに駆け寄り、薬を飲ませた。

「いつつ・・・骨は折れてないみたいですし・・・大丈夫ですよ。」

微笑むようにして体が大丈夫だとまさは演技する。

「それより、彼らを元に戻しては?」

氷ついた1匹と1人を指差して言った。


「ふぅ・・・あとは帰るだけね。」

「ったく・・・なんで俺は白龍を呼んで交渉なんか・・・」

「まぁまぁ、終わった事ですし。」

行きと同じ道を少し足早に歩いていく。

「・・・・!!」

きらるが異常な反応をする。

「ん?足に木の根が当たるのがそんなにいや?」

と、ユリナが少しバカらしい、と見下した顔で見る。

「いや・・・来るっ!」

地震・・・いや、地鳴りがとてつもない音で来るのがわかるようになった。

「やばいね・・・これは・・・」

「逃げるが勝ちだっ!!」

「勝てるわけありませんっ!」

後ろを振り返ると木々の隙間いっぱいに氷の塊たちが来るのがわかる。

ざっと100を超えているであろう。

「追いつかれちゃいますよ!」

「もう少しだから、走って!!」

出口が見え、強い日差しの下へ・・・・!!


『はぁっ・・・・はぁっ・・・・はぁっ・・・・』

3人はフロストフォレストから100Mほど離れた場所でねっころがっていた。

「きつ~・・・少し休む~・・・」

「元ウサギの俺が息切れてんだ。休むに決まってんだろ・・・」

「あはは・・・笑うのさえきつい・・・」

3人がすがすがしい顔で空を見る。

「・・・・うまくいったね。」

「ああ、こんなでけえ仕事もたまにはいいな。」

「ですね。またやりたいものです。」

最後の瞬間はきらるが大活躍してくれた。

尻尾ではたかれ、傷口が開きかけていたまさは少し遅れていた。

そこで、出口ギリギリの場所できらるが白龍に火炎弾を命じ、一発打ち込んだのだ。

火炎の力と、空気の膨張・圧縮、炎と冷気の反作用爆破で一気に吹き飛んだ。

まさも飛ばされたが、それをきらるがキャッチしたのだ。

「けど、俺はもうここには来たかねえぞ!!氷付けはいやだからな!!」

それを聞いた2人は大声で笑ってしまった。


それから1週間後。

依頼して来た近辺の街から報告があった。

『温度は着実に上がってきている。どうも、ご苦労様だった。』と・・・

我が身の変革・・・

「フェンリル!!」

黒く・・・どこまでも黒い世界が目の前に広がっていた。

焦げ臭い・・・一体の平原を焼いてしまったらしい・・・

「やあ、君が薬の持ち主だね?」

紅い髪に紅い眼。

すらっとした身に手の鋭い爪、唇の間から時々見れる強靭な牙。

「ありがとう・・・君のおかげで俺は・・・・」

とても大きな空気の揺れを感じる・・・

「俺は・・・・・世界を灰にする力をえたよ・・・・!

一瞬でユリナの立っていた場所が地面さえ煮えたぎる溶岩となっていた。

「な・・・・」

無理だ。たとえ私がクロノスアウルを唱えようとも途中で止められる・・・!それを一瞬でかぎとった。

「どうすれば・・・・どうすれば・・・!」

ユリナは立ち尽くす。

手の出し様がない。

「諦めて俺の餌食になってくれないか・・・?」

ユリナの額から汗が垂れる。

「・・・・腹が減っているんだ。女体はうまいんだよな・・・クックック・・・」

とても不気味。いや、死神に睨まれたかのような背筋の凍る感じがした。

「・・・・やだね。何が何でも止める!」

死をイメージしたことはなかった。だが、初めてイメージしてしまった・・・

それに負けないように、と自分の腕にナイフをつきたて刺した。

「・・・・・っ!」

「へぇ・・・・」

フェンリルが面白そうな顔で見る。

「じゃあ、行くぞ。」

痛みに一瞬だけ目線が揺らぐと既にそこにはいなかった。

「バ~カ、遅いよ」

後には狂気の目をしたフェンリルがいた。

岩さえも簡単に砕く爪を光らせて。

振り向いた時には服と一緒に自分の横腹がえぐられるのがわかった。

「・・・・・っ!!!」

致命傷。いや、出血量だけなら即死ものだ。

「・・・くはっ、はぁっ・・・」

目の前の世界が揺れる。

見えなくなって来た。

「さて、うまそうだな。お前。」

もう抵抗できるほどの血が残っていない。

「ごめんね、たっかー・・・・」

その瞬間だった。

ユリナの体はその場から消え、フェンリルの後ろに立っていた。

フェンリルの顔が一瞬だけこわばった。

傷が・・・・ない・・・

「・・・誰だ、てめえ。」

「さぁ・・・誰でしょうね。」

フェンリルが逃げようとした時には遅かった。

逃げようとした先にユリナが立ち、自分より遥かに大きい大剣を片手で構え、フェンリルの胴をぶった切った。

「・・・・本当に不死らしいわね。」

冷酷に見下すユリナ。

背中から悪魔の羽と天使の羽と・・・・

灰色の大鷲のような羽があった。

目を見れば殺気で殺されそうになる。見れもしない。

「ぐっ・・・・マジでさっきの女か・・・コイツ・・・」

いつの間にか胴がくっついていた。

「仕方ないわね。あなたには生存されては困るの。」

フェンリルはまだ動けない。

ユリナは静かに詠唱を始めた。

数秒後にフェンリルの体の傷がほぼ治り、立ち上がって襲いかかって来た。

しかし、見えない光の壁で覆われているフェンリルは襲えなかった。

「さぁ・・・・時の彼方の死神よ、我に力を貸したまえ・・・」

フェンリルの顔が歪む。恐怖に歪む。

「ヤメロ・・・・ヤメロ・・・やめろおぉぉぉぉ!!!」

ユリナの目が開いた。

「・・・・クロノスアウル・・・・」

フェンリルがそこにいたのか・・・?

いたのだろう。と、言いたくなるくらいの静けさが戻った。

平原は青々としている。

地面はしっかりと固まっている。

綺麗な風の匂い。

その真ん中に立つ1人の少女。

ここで何があったのかはユリナしか知らない・・・・

しかし、ユリナの背中から羽が消えた途端、倒れた。

傷は微妙にある。血が少し出ている程度だ。

服は直っている。血がしみになるだけ。

そこに、通りすがりの商人がやってきた。

「まだ生きてるや・・・・姉さん・・・?姉さん・・・?」

困った商人は仕方なく馬車にユリナを乗せ、近くの町へ・・・