「■■■!」
3回、名前を呼んだ。
3回だ。やけにそれをはっきりと憶えている。
懐かしい人の名前だ。
やたらと白の多い世界だった。
寒くはなかった。雪が降っている、わけでもなさそうだ。
元々こういう世界なのだろう。
周囲の風景は、一面に雪が薄く積もったかのように白い。
空は薄いピンク色だった。昼なのか夜なのか判らない。
単純な線と淡い色合いで描かれた絵画のような風景の中で、
開けた広場のような所に立っていた。
広場の端には湖があり、湖畔には木々が並んでいた。
木々の天辺からは巨きな星が顔を出して、空に浮かんでいる。
昼間に見える月のように白く薄らいで見える星は、地球だった。
宇宙から見た姿によく似ているからか、
あれは地球だと、そう思った。
すると、今、自分は地球にいないということになる。
自分は一体、どこの星に立っているのだろう。
一瞬不安が過ぎったけれど、それはすぐに消え去った。
この星は無機質で、どこか物寂しく、どこか遠巻きで、それが心地好かった。
冷たさと暖かさの、ちょうど境目のような世界だった。
呼んだ人の姿は見えなかった。
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だいぶ前に見た夢オチ。
この後も少し続くけどよく分からんかったので。
でもこの場面だけは今でもはっきり思い出せるくらい、印象的だったな。
シンプルな絵本のような、可愛らしさと恐ろしさが同居してるような世界だった。