この、自分の中の、
強烈な恐怖というのは、一体どこから来ているのか。
未だによく解らない。
確かに怖い。
とても怖い。
それは自分でも知ってるけど。
でも、何年、それこそ十何年経っても色褪せることのない、
きっとこの先も色褪せることのない、
この、自身の奥底から恐怖を感じさせる、
この感覚は何なんだろう、と。
どうしてこんなにも怖いのか。
どうして、こんなにも怯えるのか。
未だかつて、実際の目では一度も見たことも、手に触れたこともない。
(後者は無理だけど)
でも、夢の中の自分は、いつも竦み上がるのだ。
こわい、こわいよ、と泣くのだ。
怖くて怖くて堪らない。
自分の中の、マグマというものに対する恐怖は、
一体どこから来るのだろう。
----------
すぐ数m先で、赤い膨らみがどんどんと大きさを増していく。
液体だけれど、そこまでサラサラとはしていなくて。
粘性の高い、赤い、とても赤い、それ。
赤の中に、眩しいくらいの明るい黄色と、白が時折混じる。
途方もない熱を発するそれが、
次第に迫ってくるそれが、
とてつもなく、恐ろしかった。
体が、心が、芯から震え上がった。
純粋な恐怖に。
庭伝いに、隣の家の庭へ駆けて、逃げ出した。
なんで、こんなところに、マグマが。
急に、家の前の空き地の地面から、どろどろとした溶岩が顔を出したのだ。
なんで、なんで、なんで、
ぐるぐると混乱で回る頭に気持ちの悪さを覚えつつ、
手元のスマホで情報を検索する。
地震情報。火山情報。なにか、なにか。情報は無いか。
幸い、家の中に家人はいなかった。自分一人だ。
あのままマグマが家を飲み込んでも、誰も被害に遭わないはずだ。
隣の庭から路地へ出ると、父さんがいた。
父さん、マグマだよ、家の前からマグマが出たよ、と
必死で訴えた。
そんなアホな、という顔の父さんを他所に、
もう一度スマホを見てみると、情報が更新されていた。
近所に、小さな火口が3つも出来ていて。
なにこれ、なんなのこれ、とパニックになって、
泣きながら父さんにしがみついた。
幸いなのか、家の前から出て来たマグマは粘性が高すぎて、
あまり広がることもなく、家が燃えることもなく、
そのまま収まったようだった。
後で母さんと兄貴も帰って来て、
もう大丈夫だからと宥めすかされたのだけど。
とても怖くて、それどころじゃなくて。
嫌だよ、ここで寝たくないよ、
ねえ、お願いだから、今日だけでもいいから、
ホテルか何か、どこか別の場所に泊まろう?と泣いて懇願した。
だって、夜になってまたマグマが溢れてきたらどうするの。
あの赤い溶岩が、暗闇の中で明るく光って。
熱くて、どろどろしていて、
飲み込んだもの全て、
焼き尽くしてしまうんだ。
ねえ、こわいよ。
いやだよ、
こわいんだ、
こわくてたまらないんだよ。
小さな子供みたいに泣きじゃくりながら、ひたすらそう繰り返した。
心がずっと恐怖に震えている。
まるで息が出来ないみたいに苦しい。
ねえ、
どうしてこんなにこわいんだ。
わからない。
わからないよ、
でも確かに、
体の真ん中の、ずっとずっと奥底の方から、
怯えているのだ。
果てのない、
終わりの見えない、
恐怖そのもののような、それに。
----------
なんか。
色々な悪夢詰め合わせパックみたいな休日の朝だったんだけど、
マグマの夢はひっさしぶりに見たなーと思ったので、一応記録。
確かに怖いし、苦手だってのは自覚してるんだけど。
こう、夢の中の自分は、苦手とかそういうレベルを越えてるんじゃないかって。
そもそもイメージでしかないそれが、
どうしてここまで自分にとっての恐怖になってるんだろうって、
そういえばよく解らんな、というのが今朝の疑問。
まあ、イメージだからね?無限大みたいなところはあるけれども。
自分にとってマグマが出てくる夢っていうのは、ほぼ間違いなく悪夢なんだよね。
夢の中の自分は本当に、もう勘弁してくれってくらい、
マグマに対してビビってる訳ですよ。
一体自分にとって、
夢の中のマグマっていうのは何なんだろうかと。
何を象徴しているものなんだろう、と不思議には思う。
幽霊とかに対しても超ビビリだけど、
多分そういう恐怖とはベクトルが違うもの、のような気がする。
解らないんだよなあ、いつも。
なんでこんなに怖いのか。
涙が止まらないほど、怖くて仕方がないのだ。