最初がよく思い出せない。

 

夜だった。

気が付いたら職場の外にいた。

職場の外に立っていて、様子がおかしいことに気が付いた。

 

どの建物にも灯りが灯っていない。

外灯だけが灯っている。

どの建物の窓を見上げても、真っ暗。人気が全く感じられない。

こんなことは有り得ないんだ、

いやきっと有り得ることではあるんだけれど、これまで自分が経験したことはなかった。

休日でも祝日でも、平日の日付を越えた深夜でも

必ずどこかの部屋には明かりが点いていた。

だから、これは違和感だと認識した

 

ああ、これはきっと夢なんだ

自分は世界にひとりぼっち。

誰もいない、真っ暗な建物に囲まれて、外灯だけが頼りなさげに灯っている

 

ああ、怖いな

 

怖いから、起きようと思った。

どうすれば起きるだろう、

とりあえず頭を叩いてみた。ひたすら

起きろ、起きろ

この不気味な世界から目を覚ましてくれ、と

 

バシバシ叩いている内に、どこか別の思考が混じってくる気配がした

ああ、気付き始めている

眠っているどこか別の自分がいる

起きてくれ、と

 

そして起きた

 

午前の自分の部屋だった。

かなり寝過ごしてしまった、この先の予定があるから急いで支度をしないと

洗面所に行ったら、扉の向こうにでかい蜂が二匹いた

うわっと思って慌てて扉を閉めた、けれどそうだ、扉には穴が開いていた

ちょうど蜂が通り抜けられるくらいの

ああ、そうだ

自分はハエ叩きをまだ買っていなかった。いつもこういう時に思い出す

 

洗面所の横にあるトイレの管にティッシュが詰まっている

茶色か黒辺りに変色したティッシュの先

前にこれをやった記憶がある、何でだっけ?

 

蜂が穴から出てきて、慌てて自分は部屋の反対側へ行く

窓を開けてそこから出そうと思ったからだ。

そうしたら、窓の外に指先くらいの小さな蜂がびっしり張り付いていた

ぎょっとして思い留まる、でもでかい蜂はもう背後に迫っている

 

もうどうにでもなれと窓を開けた、

途端に小さい蜂が部屋へ入って来た。

蜂に囲まれる、

 

助けて

 

 

*****

 

…………そこで、本当に起きた。

確かに結構寝てしまったが、寝過ごした程ではなかったと安心した。

ひとまず支度を始めた。

 

っていう本日の夢オチ。