深緑の微睡

なかなか会えないなーと思ってたら、葬式明けた夜にようやく会えた。


母さんから貰ったらしい、深緑色のワンピース。
母さんが来てた喪服の色違いだ。
葬式の間、母さんの喪服のデザインが素敵で羨ましくって、だから着てみたかったんだろう。
上着は花柄の刺繍。
これが気に入った。

振り向くと、祖母がこちらを見ている。
よく似合ってるなぁ、と穏やかに笑った。
そう？
よく似合ってるよ、とまた言う。
こういうのを褒めてくれるのは祖母だけだ。


…

朝起きて、ああ、ようやく会えたと安堵した。
すぐにでも会えるかと思ったのに、なかなか出て来ないからどうしたのかと思った。
こういう時、夢ってのは便利ですね。
会いたい人に会えるから。


9月の終わりに祖母が亡くなり、あれやこれやが終わって、ようやく今日から通常通りラボに復帰です。
何もかもが初めてで、精神的に崩れた時もありましたが、今はもうすっかり落ち着いて通常営業です。人間の適応能力ってスゲェのな。
尤も、自分としてはちょっと前の日記で泣いておいたんで、もう大丈夫かと高を括っていたんだけども。葬式前にフツーにラボ行って仕事してたし。
でも甘かったんだなぁ。

まあ、今はすっかり元通りなんでこのままで。
自分は本来弱い人間だから、それを必死になって隠そうと強がっている。
感情に蓋をしている限り、それはなかなか漏れないから冷たい人間で居られるんです。
でも蓋が外れてしまうと、途端に弱さが溢れ出る。

思い出し笑いをよくする人間だと自覚してますが、それは記憶を反芻するから何度も笑う訳であって、同様に何度も悲しむ訳です。
繰り返し繰り返し、記憶を辿る。
何度も思い出しては、泣いての繰り返し。
だから普段は蓋をする。そんな人間、自分からすると厄介で堪らないから。

蓋をして、思い出さない限りは、悲しさを忘れていられる。
それでいいんですよ。