目を覚ますと、また深夜の2:00ちょうど。
げんなりして目を閉じる。
途端に脳がざわつきだす。

暗闇。
緑色の火花。
背後の黒い人影。
白い顔。
一ツ目の化け物。
暗闇。
部屋の扉。
曇りガラスの向こう。
赤い写真。
白い死体。
暗闇。

瞼の裏で、気味が悪いほど素早く映像が切り替わる。
何度も何度も、繰り返し。
現実と夢の境界が曖昧になってくる。
寝ている自分を自覚しながら、夢に引っ張られる感覚。
だめだ。
我慢できない。目を開ける。
シーツと、壁が見える。
時計を見ると、2:30だった。
内心舌打ちして、また目を閉じる。

結局は精神論だと、そう思っている。
悪い方へ悪い方へと考えるからいけない。
そういうのをはぐらかす自信なら負ける気はしない。
自分自身に対しても。

目を閉じる。
暗闇。
化け物。
人影。
それらを押しのけて、子供達の記憶を引っ張り出す。
適当な台詞を言わせる。
バカやらせたシーンばっかり考える。
即興でもいい。
子供達の笑顔が見たい。
でも根強い恐怖が、また子供達を押しのけて出てくる。
叫んだ顔。
追ってくる何か。
必死で思考から追い出す。
その繰り返し。
まるで自分と自分がぶつかり合っているような。
違うか。
堕ちそうになる自分を、自分が引き上げているのかもしれない。

最後に見る映像がどちらか。
亡霊か、子供達か。
どちらも、自分の生み出した幻でしかない。
けれど、その勝敗で大分変わってくるものだ。
最近はそんな競争を毎日やっている。
子供達が負けることは有り得ない。そこには絶対の自信がある。

結局は精神の弱さであり、弱くしている張本人は自分である。
単純に、その弱さを忘れてしまえばいい。
精神が強くなれるとは思っていない。
自分にとっては、どれだけその弱さを見ずにいられるか。忘れられるかが問題だ。
それだけだ。