此の世の地獄を見てしまった。ああ、もう駄目だ。あれは地獄だ。

まさかあんな所に現世の地獄があったとは…恐るべしYラボ。


何もしなければ、そこは天国。

荒れた大地と所々にシロツメクサの群れが生える、広大なグラウンド。

視界に一匹はテントウ虫が入るという、正に地上の楽園。HEAVENですよ文字通り。PARADISEか。

そこが一転して、地獄に変わる。


「えっ、もしかして、ここでやるんすか?」


Yラボ恒例、ソフトボール練習の始まりです。←



それは突然の知らせだった。

“日本一大学の2研究室、+Oラボ、+Yラボでソフトボール大会をやるらしい”

はあああああ?!という衝撃がYラボを覆った。話では、OラボのボスがYラボのボスを誘い、4チーム対抗試合と相成った、とのこと。

ちょっと待て、Oラボっつったらこの前の棟内対抗ソフトで完敗した相手なんすけど!?

そして同じく日本一大学出身の兄上様曰く「あっちは『部活』レベルでやってる連中なんだけど…」。

こないだの棟内対抗なんて目じゃない、剛速球が飛んでくるらしい。危険なので女子は参加しない方がいいというレベル。

…死ねと。


そんな訳で、本日はソフトボール大会へ向けての練習日。

監督イケメン様とBOSSに加え、兄上様、ヒーロー様、可憐様、自分とお部屋のみなさまが続き、その他のお部屋からもバース様やピンク先輩が参加され総勢13名で練習開始。

…少なくね?というツッコミは虚しくなるから言わないお約束。(Yラボメンバー:総勢47名)

幹事様はお家の事情で今回の練習は参加出来ず。

先輩に電話したら「今、高知です」って言われた。先輩イイイィィィ!!本番は参加して下さいよ!!


そんじゃー適当にキャッチボール始めててー、と言われたので兄上様と組ませてもらっていざ投球、と思ったちょっと前のこと。投げる前にふと足元を見てみると、見慣れた赤い粒がちらほら。

こ、こ、こ、こ、これは、もしかして?

さっと周りを見回してみると、あちらこちらに赤い粒。あ、あっちにも、こっちにも、そっちにも。

大量のテントウ虫が至る所に居るではないですか。

こここここれは何というパラダイス、イヤしかしその前に自分達が今やろうとしていることは何だ!?


黒「ど、ど、どどどどどどうしましょう兄上様」←動揺MAX

兄上様「何だね」

黒「て、て、て、テントウ虫が居過ぎて動けません!!本気でここで練習するんですか!?」

兄「当たり前っしょ。…あ、ホントだ。居るね」←周りを眺めつつ



地 獄 。



ヒア、イズ、ヘル。地獄とは正に此の事を言う。

無理だああああああと心の中で叫びつつ、頑張って投げました。兄上様上手過ぎでした。流石は経験者。

「そんじゃー先生からのノック行きますんで。ポジション入ってー」という監督の指揮で、みなさまグラウンドに散る。ちょ、ちょっと待ってええええええ!!足元に奴等が、愛しのレディイイバアァァッグがあああああああ


…そんな魂の叫びが通じる筈もなく。

泣く泣く自分もライトに入りました。ああ、居るよ。ちょっと見ただけですぐに2~3匹は視界に入るよ。

お前達、ここに居てはいけない…!遠くへお逃げ。という願いも勿論通じる筈も無く。

必死に球を追いました。身体のあちこちに球をぶつけました。約2名が顔面直撃。走り、バットを振り、球を投げる。兄上様の華麗なるノック、ヒーロー様のキャッチャーフライに懸ける執念、監督の女性にも配慮したピッチング、強打者バース様、ピッチャー返しを余裕でキャッチするBOSS。


練習の中で踏み潰されていく数多くのレディバグを想い、涙を呑みつつ練習に没頭しました。

練習が終わった後、周囲をよくよく眺めてみたらやっぱり居ました。潰された憐れな亡骸がちらほらと。ああ、だから逃げろって言ったのに…(通じる訳がない


そして更なる地獄の宣告が。


ヒーロー様「大会本番もここでやるから」

黒「えっ」