TSUTAYAのカード更新ついでに、読む本のストックが残り一冊となったので、新しい本を買って来ました。
これまた表紙が気に入ったので、伊坂幸太郎氏の『グラスホッパー』。
以前、友人に借りたギャングメンズの著者ですね。期待しておこう。
ここん所、適当にチョイスした小説を読み漁ってます、とは前に書いた気がするな。
『スロウハイツの神様』から数えてみると、もう5冊か。ストックも含めて最近買った本をリストアップしてみると、
・スロウハイツの神様(上)
・スロウハイツの神様(下)
・空の中
・海の底
・塩の街
・プラネタリウムのふたご
・グラスホッパー
で、昨日『塩の街』を読了し、これから『プラネタリウムのふたご』に取り掛かろうという所。
感想を書いてなかったから、ここで一気に書くとしよう。端的に。
という訳で、ネタバレされたくない人は回れ右↓
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・スロウハイツの神様
→登場人物がクリエイターだらけの話を書くって、相当度胸あんなこの人、と思ったのが初見の印象。
クリエイターってのは、それぞれが全く別の独自の世界を持ってると思うんですが。しかも相当濃密な。それを登場人物分考えなきゃならん訳で、よくもまあ、設定がごっちゃにならずに書けるもんだと感心しました。
しかも登場人物がアマでなくプロってことは、そこまでの実力をそいつに注ぎ込まにゃならん訳だし。
でも、下巻まで読み終わって、久し振りに優しい本を読んだなあと思いました。
コウちゃんがストーカーまがいの行為(笑)をしてる所とか、素直で健気で不器用で、こっちが呆れてしまうくらい微笑ましかった。環が天使だと知って、でもそれが当然のことに思えた。莉々亜の存在からすると衝撃の事実な筈なのに、それを知った時に全く違和感を覚えない。
こういうお話もあるんだな、と思わせてくれる本でした。
元々、登場人物それぞれにストーリーのある話は好きなんですよ。自分のRAINBOWもそんな雰囲気で作ってるし。複数の人物にスポットを当てていて、それらの交差を描く話は好きだ。
ただ、狩野の裏の職は罠だったと思う。あいつめ!
・空の中
→春名ァァァァアア!!俺は!お前を!!愛している!!!(叫
→光稀の性別トラップに、自分は見事に引っ掛かったぜ。ハッハー、正体バレても2、3行は気付かなかったんだぜ!
→ディック可愛いよディック。フェイク手懐けたいね。
→ガチでSFに最初はちょっと戸惑いましたが、のめり込めばガチでハマる人間です。エディアカラ生物群とか、微妙に生物ネタ引っ張ってきてるし。流石にディック並の生物は発生しなかったと思うが…。
春名とディックの遣り取りが一番好きだったかな。光稀に角で殴られたシーンには笑った笑った。
言うに事欠いて、穴兄弟ときたもんだ。単語を調べて、顔を顰める所か笑っちまったよ。
そして仁淀の神様よ、永遠なれ。
・海の底
→こ、これはヤバイ。表現がヤバ過ぎる。これが映像化したら目も当てられんな、と思った作品。
道端に人の死体がごろごろ転がってて、それを巨大ザリガニが喰らってるって、どうよ。
あまつさえ上・下半身分離ですか。脊椎が切れる音なんざ、実際聞いたら絶対トラウマになると思うぞ。
巨大ザリガニなんて非現実的な話をよく思い付くなあ、と作者のセンスに脱帽。
そして艦長に惚れる訳だ。か、艦長…!(涙
いや、まじ、やめてあげて。瞬殺してあげて。腕が落ちた瞬間、懇願したけどそこん所は非情な著者であった。絶叫が響いてる間、思わず耳を塞ぎたくなってしまったよ。
どうして、どうしてまだ生きてなくちゃいけないのさ。何で夏木の顔面蹴って追い返してるのさ、何でまだ立ってるのさ、何でまだ声を上げなきゃならないのさ?
―――何で、腕しか残らないのさ。
その腕にかける夏木と冬原の2人の想いが、痛いくらいにやり切れなかった。
お前等が死んで、艦長がここに居たら良かった。その素直な暴露が痛くて悲しい。
最後まで痛かったなあ、艦長のことは。弔い合戦の時も、痛くてやり切れなくて仕方なかった。
・塩の街
→感想を書く前に、ちょっと言わせてくれ。何でこれがデビュー作なんだよ。
最初に『塩の街』を気に入って、巻末に書いてあった同じ著者の本を見てみたら『空の中』と『海の底』があって、タイトル的に面白そうだと思ってその2作も探して、それで設定とかで繋がりがあったら気になるから順を追っていこうと空から読み始めたっつーのに、蓋を開けてみたら塩が最初の作品だった訳だ。
折角順番通りに読もうと思ったのに、デビュー作を最後に読む羽目になったという。
そもそも気に入ったのは塩の街であって、他の2作はそれを読む上での下準備的な気持ちでいたんだが(2作共、下準備なんぞ言えない程の面白さとインパクトがあったが)。
まあ、その辺は文庫化とかで色々な問題があったらしいので、追及せずにおこう。
で、塩の街ですが。
「寝覚め悪くて見過ごせないから俺の通らないとこでやれ」
本屋で作品を手にとってパラパラと捲っていた時に、偶然見たこの台詞がえらく気に入ったもんで、それだけの理由で買いました。つまり、このページを開いていなかったら買わなかった訳だ。偶然って不思議。
暴漢に襲われた少女を助けるベタベタなシーン、嫌いではない。
全てが塩化していく世界での恋愛事情も見事にベッタベタですが、やはり嫌いではない。
寧ろ、ピッカピカに光る真新しい恋愛間に、瞼引き上げて目ン玉剥き出しにされる心地がしました。
ついで、って…!唖然とするこの面白さ。いっそ清々しい程にベタベタ。
それが眩しいくらいに輝いていて、何でこんなにはっちゃけられるんだ!と感心しました。
秋庭氏、奴はやる漢だぜ。
そして真奈は核爆のスイッチと同義である。
…そんな恋愛もいいじゃない。
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端的だって書いたのに、大分がっつり書いたな。
流石に疲れたので、大人しく借りてきたレミオロさんの『花鳥風月』を聴きながらネタ帳を書くとしよう。