図書館で何気なく本棚のタイトルを眺めていたら、ちょいと興味をそそられたので借りてきた一冊。
『イルカの歌』という海外の小説でした。
内容は文字がぎゅうぎゅうでなくて簡単に読めたので、昨日の帰りと今日の行きの電車で読了。
柄にも無く思う所があったので、感想みたいなものを書いておこうかと。↓(超ネタバレ含)
著:カレン・ヘス。昔、読書感想文の課題図書でこの人の本を読んだことがあると後で気付いた。
『イルカの歌』は、イルカに育てられた少女のお話。文は全て彼女の独白。
野生児として人間に捕まって、人間の世界を知って、また海へと還る少女の物語。
読み終わった時はラストが自分の願った通りになったんで嬉しかったけど、何処か悲しい。
イルカの群れに帰って、最初と同じ描写。イルカ達の声に抱かれて眠りにつく。
彼女は、一時だって海のことを忘れなかった。
波の音、風の音、クジラの声、シャチの姿、イルカの家族、友達の歌。
彼女の拙い言葉で一生懸命に書かれているからこそ、言葉が直に心に響いてくるような気がする。
“野生児は、人間とは何かということを教えてくれる”。
だったら人間の赤ん坊でも見てやがれと思ったけど、この本を読んだらそれもわかるような気がした。
飽く迄フィクションではあるけれど。
彼女の一つひとつの言葉、歌、音楽。届きそうで届かない、人間らしさという絶対的な要素。
彼女は、一匹のイルカ。
人間からイルカへと変身した、美しい女の子。
彼女は、もう人間じゃない。
彼女は、もう戻って来ない。
だから、かなしかったのかな。
でも、彼女が幸せを感じるなら、それで良かったと自分は思うのだ。
どうか幸せに、ミラ。貴女を愛する仲間と共に。
物語を読んでこんなにも切ない気持ちになったのは、久し振りかもしれない。
アレだ、スタインベックの『ハツカネズミと人間』読んだ時以来だ。アレは辛かった…。
何だか、今回のことでこの白水uブックスの海外小説シリーズにハマッてしまったので、暫く海外文学に浸ってみようと思います。物語が良いな。自分はあまりにも非文化的な気がするから。
まあ、それなら海外の前に日本文学でも読めって話ですが。嫌ですけどね。
今日も読み終わったので、早速新しい本を借りて来ました。また楽しみだ。
後は新書コーナーも新刊がどちゃっと届いたようなので、そっちも一冊借りて来ました。
最近は、図書館でタイトル選びするのが楽しくて堪らない。