紀野一義(1988)『仏教のキイ・ワード』(講談社現代新書)
観世音菩薩普門品
「妙音観世音 梵音海潮音 勝彼世間音」
「すばらしい音声、すばらしい調べがこの地上に満ち満ちている。その調べを聴きとる耳を持たねばならない。『聴無音』という。声にならない声を聴きとる耳を持たなければ、仏法の大海に入ることはできない」
「すばらしい音声、美しい旋律がこん地上にのびのびひろがっている、というのである」(p30~31)
「法華経観世音菩薩普門品第25」に、衆生救済のため大慈悲を行じ、33種に化身するとある。観世音とは世音を観(かん)ずることであり、菩薩が一切衆生の苦しみに寄り添って、修行を続ける意味である。世の中の人の苦しみに敏感でなくては菩薩とは言えないのである。