立川武蔵(1995)『日本仏教の思想』(講談社現代新書)
「諸法」=「われわれの日常の生活の場の世界」(p16)
「実相」=「仏教が求める究極的真理」(p16)
「諸法実相論とは、ようするに、現象即本質ということだ。現象の奥に、現象とは区別されたものを認めるのではなくて、現象以外に本質はないと考え、現象を真実のすがたととらえる。このような考え方は、いきおい悟りと迷いとの区別を強調するよりはその本質的同一性を強調することになる。この考え方はさらに、人間には生来、悟りを開く能力が備わっている者といない者の区別が存するのではなく、すべての人に仏性があると考える方向にむかっていく。最澄の思想は、まさにこのような無差別平等の思想であった」(p90)
立川は、最澄の思想は「無差別平等の思想」であった、という。しかし、これでは実践の場でどのように、この思想を会得するのか不明確である。日蓮は最澄の思想を発展させ、本尊と題目を明確にした。これがいわゆる事の一念三千論である。