鎌田茂雄(1994)『法華経を読む』(講談社学術文庫)
現代に生きる『法華経』の教え
「日蓮聖人は『蔵の財(たから)よりも身の財すぐれたり。身の財より心の財第一なり』(崇峻天皇御書)と言っているが、この言葉を充分に味わう必要がある。ほんとうの財宝とは何か、ということを、この言葉はわれわれに教えてくれる」「日蓮聖人が『心の財』」といった心とは、他人とともに共感できる心なのである。どんなに能力がすぐれていても、すべてのことが自分でできると思うのは、悪魔の心なのである」(p425)
「現代ほど人と人との間柄が荒涼としている時代はない。このような時代を生きるにあたって常不軽菩薩が説くように、自分を大切にすると同時に、他人を尊重し、他人を愛する豊な心をもちたいものである。それが『法華経』の教えを現代に生かすことになるのである。『こころの時代』を迎えつつある現代こそ、『心の財第一なり』といって日蓮聖人の言葉を改めてかみしめたいものである」(p428)
鎌田の言うように「心」をどう磨くかが、今の世の中に絶対必要なのかもしれない。