仏教は大きく分けて大乗仏教と小乗仏教に分かれる。大乗仏教は紀元前後から作られた。それは、早島によると、3つの学系に分けられる。
早島は『ゴータマ・ブッダ』(1990,講談社学術文庫)で「世紀前後から数世紀にわたって、大乗経典が作られ、中期には『解深密教』などの唯識経典、『大般涅槃経』『勝鬘経』などの如来蔵経典があり、後期には『大日経』『金剛頂経』などの密教経典が作られた」(p426)
「大乗仏教の学系は左の三つに分けられよう。(1)中観派 ナーガールジュナ(竜樹、150-250年ころ)は空思想を哲学的に基礎づけ、この派の開祖とされる。(2)唯識派 中観派の説く空思想を土台に、現象世界は純粋の精神作用である『識』(こころ)を中心にして顕現したものであることを体系的に説く。開祖はマイトレーヤ(弥勒、270-350年ころ)で、つづいてアサンガ(無着、310-390年ころ)およびヴァスバンドゥ(世親、320-400年ころ)が輩出した。(3)如来蔵思想を説く人びと 唯識観との交流があり、衆生の迷いとそしてさとりの成立するゆえんを、如来蔵(われわれの心中に存在する如来たりうる可能性、仏性ともいう)によって説明する」(p427~428)と述べる。
釈尊の思想を様々な学派が分析し体系づけていたことがわかる。