あれからツンはなにも言ってこない。
胸に手を当て自分が言ったことを考えているのか
それとも時間がないのでそれどころではないか。

おかげさまで我が家の空気清浄機も
正常に動くようになった。
異常にタバコやほこりに反応したり
過剰にニオイのセンサーが動き出すことはなくなった。

私が望んでいたことはこのような生活だと実感している。

昔の上司の横顔を見て
いまもお元気そうでなにより。お世話になったな
と思った心の奥に
なぜ仕事を離れた私をまきこんでありとあらゆる何かを企んでいたのか
問いただしてみたい気にもなった。

「きみは病院に入院」

きっと9月になってめでたく「退院」したのだと思う。

長い10年だった。
この10年間いつも誰かに見張られているような感覚を持って
家の中での出来事全てが町中に聞こえている感覚だった。
家族がいる人にはなんでもないことかもしれない。
チームなどがある人間ならそれはそれで楽しむことができたのだろうと思うよ。
なぜならそれらはみな事情をそれとなく教える人がそばにいて
どう対応すればいいのかそのつどわかるし
話をしているうちに笑い話も湧いてくるだろうからね。
ひとりでこれらのことに対応できる人がいるなら
教えていただきたいものだ。

とにかく我が家はとても穏やかで
フロアは足に優しく軟らかい。
気候は心地よい風が吹き始め、夕方らしい気温の中
久しぶりに美味しいビールが飲めそうだと
3年ぶりに感じられた。

それにしても私のPC画面が
異常に単純化している気がするのは気のせいだろうか。
あらゆるソフトがレトロっぽく見え
いままでのさもハイテクでござんす的な雰囲気が消え去った。
おそらくそれらがいままで私の家や体調やPCに異常をきたしていた
「圧力」だったと思える。
私はやっと自由になれたのか。
新しい将来に向かって
新しい相棒に向かって
やっと走りだせる環境が整ったと考えていいんだよ。
そう言い聞かせて私は前進するしかないんだよ。


おしまい