怪しげなにおいが立ち込めていた。

そのあやしさは数日前の明るさとは打って変わり

黒い溝のような匂いと獣の小便の香りがしていた。

ややあって中から人が出てきた。

予想外に白衣を身につけている。

喪服か血にまみれた姿で出てくると思っていたからだ。

或いは口にアジフライでもくわえて出てくるかと思った。

その姿はワカメちゃんを縦に伸ばした姿だったのだ。

縦に伸びたワカメちゃんは波平さんの言葉を伝えた。

「緊急オペになってしまいました」

おかしな話だ。

まったくおかしな話だった。

アザラシをペットで飼っているのでそうなったと言っていた。

アザラシねえ…。

そこで私は周辺に聞き込み調査を開始。

というのもこの全てのカーテンを閉め切った状態の家からさほど遠くない場所に

もう一軒のシャッターを閉め切った家があったからだ。

この暑さにシャッターまで閉め切っている家が有るのだ。

おかしいではないか。


すると近隣のみなさんは誰もワカメちゃんを好きだとは言わなかった。

「そっちの家のほうが人の出入りが有って明るいと思うな」

「この近所によく事情を知っている人たちが集まる公園がるからそっちに行って聞いてみれば?」

このRPGはよくできている。

確実に次への道しるべを示すヒントをわかりやすく教えてくれるからだ。

しかしそのイベントにはタイム設定があり

その地域から脱出して無事家に帰るまで2時間だけ。

家に帰る道のりまで1時間以上かかるというのにイベントに参加している時間はなかった。

それに…。

なぜかここの住民と話している間に気温が上昇していくのだ。

それでは公園に向かったとしても誰もいないだろう。

ところが「北、北、北」と話す人と出会い

何度もその人物が「北」というのでだんだんと異常なほど高温だった気温が

過ごし易い温度になったのだ。

もしもこの町に行ったときは

「芝生はりのおばさん」と話すことをおススメする。

おばさんの年齢はくれぐれも「60代」であることが条件となる。

地球温暖化を食い止めるのは「60代」の「北」という言葉かもしれない。



おしまい