遊泳客がいなくなり、
すっかり寂しくなった秋の頃の砂浜を、
散歩がてら友人Oとふらついていた。
波打ち際は静かに揺らめいている。
わかめや流木が無造作に漂流し、
ビーチとして賑わう夏の光景など、そこにはなかった。
海の向こうは曇り、
色もいっそう寂しさを増している。
会話もないまま、しばらく歩いた。
ふと、尿意を感じてきたところに、
ちょうどよく
白いコンクリート調の薄汚れた公衆トイレが現れたので、そのまま立ち寄ることにした。
中は異臭はしなかったが、異様な空間が流れているようであった。
小便器に近付いて、用を済ますと、
ふと気になったのがトイレブースの中だった。
半開きになったブースドアの奥に、
洋便器が見える。
何故か便座の蓋がわりに、
四角い平ベニヤが置かれており、その上に花が寝そべっていた。
その花の色はわからない、青でもあり赤でもあり黄色でもあったのだが、
僕の目が拒否をするように、色を与えなかった。
僕は何故か知っている。
それに触れてはいけないことを。
不吉な予感がびんびんと、
そのトイレブースから発しられていた。
『なんだこれ?』
友人Oは僕の気持ちとは関係なく、
そのトイレブースに入っていく。
やめてくれ。
そしてとうとう、友人Oはその花の乗ったベニヤを持ち上げた。
そのまま僕の方へ振り返る。
僕は恐ろしくて、
彼に近寄るなと叫んだ。
自分の体の動きが鈍くなる。
友人Oは何ともないと言って、花の乗ったベニヤ板を持ち近付いてくる。
やめてくれ。
後退りながら公衆トイレを出ようとした時。
友人Oの背後に白いモヤが現れ、
僕の視界はぐにゃんと歪んだ。
ギィギィー、と大きな唸り声。
いやぁぁぁぁぁぁー。
、と僕は目が覚めた。
どうです?
これが今年の僕の初夢です。

