結構前に書こうと思って下書きにしていたものです。あしからず。




いよいよ、新年度ですね。

弊社も昨日(この記事を書いた前日の4月2日)入社式があり、数十名の新入社員が増えることになりました。
私の後輩になるみなさん、これからよろしくお願いします。

たぶんここ一ヶ月は、ブログなり会社の上司なりに、「お前らこれだけは肝に銘じておけよ」みたいな話をたくさん
聞くことになると思います。なのでもう聞き飽きてしまったり、「実際いろんなこといってるけど、全員違うこと
言ってるぞ」ということになると思いますが、あえて書きます。
私の考えが正しいという訳でもありません。まあ、年寄りのたわごとだと思っていただいて。


仕事というのは職種業種を問わず、全てがサービス業だと私は考えています。

社会人になって20年近くたちます。いままでいろんな新人、中途の人をたくさんみてきました。
最初から自分の表現したいものを作ってもだいたいはうまくいかないです。自主制作ではなく仕事としてやると
いうことは、大勢の人に評価されるものを作るということです。仮に奇跡的に観客を感動させる完璧な作品が完成
したとしても、それは世に出ないかもしれません。なぜならーー

まずは、目の前の人に評価されなければその先はないんです。だって、プロデューサーがOKを出さなかったら
制作許可がおりないですよね。それからプロデューサーが金を出してくれる人を説得してやっと制作できる。
そうなると、プロデューサーが自信を持ってクライアントに持っていけるものじゃないといけない。それはどういう
ものかというと、プロデューサーが「そうそう、俺が作りたかったのもこういうものだよ」となる作品。だから、

目指すものは「すべての観衆に訴えるもの」ではなく、「プロデューサーの好みにあったもの」

という、矛盾したものになります。
これは映像の仕事に限ったことではなく、営業職でもなんでも、プレゼン資料などを作成する場合にも同じことが
言えると思います。逆の立場で考えてみましょう。そのプロジェクトが成功するかどうかはこの際関係なくて、
自分の部下が持ってきた資料を見て、「え~、これ持ってクライアントにいくの?確かによさそうだけど、俺はこれを
うまく説明できる気がしない。納得いってないんだけど。先方に説明するの俺だよ?」っていう状況です。

日常でも同じです。サークルで旅行にいくとして、幹事が持ってきた旅行のスケジュールがどうにも自分の
行きたいところではない場所が中心になったものだったとします。部長のあなたが、後輩たちにこの旅行の概要を
説明するとしたら、自分がノリノリじゃないものを楽しい旅行であると伝えられるでしょうか?

反応が見えないテレビの前の視聴者がどういうものを観たいのか、どうしたら感動してもらえるのかを考える前に、
まず「たった一人」を納得させるものを作る。

そのためには、「この人はどんなものが好きなのか」を考えて、調べてみるんです。どんなことでもいいんです。
チラリが入っていたら喜ぶ、というならそういうシーンを入れてみるとかね。

これを常に心がけていると今度は「もっとこうしたらおもしろいと思ってもらえるんじゃないか」というサービス精神が
鍛えられていきます。これが段々過剰に考えるようになっていき、果ては最終目的の「視聴者の方はこういうのを
楽しいと思ってくれるんじゃないかな」という、見る側にたった制作ができるようになっていくと思います。

見る側の立場ってのは、頭ではわかっていても意外と難しいんですよね。

そして、初めは上司の代弁者のごとく制作していたものが、あるころには、見る側のことを考えた作品であると
同時に、あなただけのアイデンティティとテイストが加わった、オリジナルの作品になっていることでしょう。

みなさん、精進してください。