先日
楽しみのあまり、
2時間半も前に着いてしまった松戸の、
ブ○クオフにて見つけてしまった思わぬ探し物とは、

手塚治虫
「上を下へのジレッタ(完全版)」
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以前、
グーピタさんが、
人間ども集まれ!」の記事を書かれた際、
ついでに思い出していたのですが、

さほどの話題作でも無し、
それも相まって店頭で見かけることも無し、

野口一枚で釣りが来るなら買いましょう位のスタンスでいたのですが、
それがそのタイミングであったもので、
ついうっかり旅の途中(往路www)で買ってしまいました。

流石に駅の改札口で読破出来るようなボリュームではないので、
帰宅後に読み耽りました。

内容は、

主人公の演出家「門前市郎」は世に名を馳せたいと思っているが、
その過激な演出が故に業界では鼻つまみ者。
ある日折の合わない大手芸能プロダクション「竹中プロ」が、
歌唱力はあるものの覆面歌手として売り出していた「晴海なぎさ」を手放す。
興味をそそられ実際に会うと一目瞭然、
彼女は「くに」では「ミス丸太ん棒」に選ばれたという経歴を持つ。
しかしこのさえない歌手「晴海なぎさ」には知られざる秘密が。

...そこから始まる物語。

タイトルにもある「ジレッタ」というのは手塚センセの造語だそうで、
「晴海なぎさ」の恋人で、
売れない漫画家「山辺音彦」が作り出す妄想の世界のこと。

読んだことは無かったので、
「完全版」と言われてもピンとこないのが実際ですが、
既刊のコミック収録版と漫画サンデー連載版(とでもいうのでしょうか)が、
まとめて収録しておりますので、
通しで読むとその差異がよく分かります。

しかしながら話の展開としては、
「人間ども集まれ!」の時の様な大幅な改訂は有りません。

一番の違いは、
大阪万博のくだりが時事的過ぎるとのことで、
バッサリ割愛されているという点です。

さて、
おわりの解説で香山リカ先生が「バーチャルコミュニティ」という言葉で表すように、
「ジレッタ」と言う妄想の世界は、
ウェブというメディア(インターネット)の出現を予感させるような世界です。

この漫画でも描かれている政治とメディア。
この二つのものは結びつき方を間違えると恐ろしい怪物を生み出すことがあります。
かつてこの国も狂ったことがありました。

作品が世に出た40年前という時代は、
日本が目まぐるしく変化していく高度経済成長の時代。
しかし戦後としては20年後。

日に日に豊かになってゆく生活を、
ただ単純に喜ばしいと感じるだけでは危険であるとの警告が見えるような気がします。
この国は誰の意志で動いているのでしょう?

おやおや言葉が過ぎましたかwww

その他にも痩身賛美や全体主義、
様々なモノを皮肉っています。

話は成程地味で、
取り上げられないのも分かりますwww

何度でも読み返すような面白さは無いかもしれませんが、
要ちぇっく作品だと思います。






腰巻(オビ)の爆笑問題・太田光のアオリが妙に秀逸です。

手塚治虫は、
大山脈で、
しかもその全てが活火山だ。
我々はその山の標高すら、
未だに把握出来ていない。




GJ!







森山田市郎