How happy is the blameless vestal's lot!
The world forgetting, by the world forgot.
Eternal sunshine of the spotless mind!
Each pray'r accepted, and each wish resign'd;

- Alexander Pope

eternal sunshine

彼女は、
僕の誕生日の1週間前に

プレゼント、何が欲しい?

って聞いた。
直接僕に。

だから僕は答えた。
テレビをながめて
鼻クソをほじりながら。

教室の机が欲しいな。
小6の時の。
悟空とかクリリンとか描いたやつ。
あと、理科室のガイコツの標本も。

もちろん本当に欲しかった。
小6の時の机には
我が生涯最高とも言える
作品の数々が刻みこまれていたし
理科室のガイコツなんか
家にあったら
ワクワクするじゃないか。

けど、本気じゃなかった。
自分の誕生日までは
遙か1年以上あるんじゃないか
みたいな感じだったし。

だいたい誕生日の前に
何が欲しいか聞くなんてことは
儀礼的なもんだろう。

だいたい誕生日なんかどうでもいいし。

と思っていた。

だから、
我が誕生日だと思われる日、
家の前に、
汚らしいボロボロの机と
気味の悪いガイコツをもって
立ちすくむ彼女を見たときは
本気でケーサツを呼ぼうと思った。

しかし今から思い出すと
同時にそれは、
崇高で感動的な瞬間だった。

小学生の使う小さな机と
ガイコツの標本をもって
泣きながらほほえむ女の子。

もうあんな瞬間は人生に訪れないだろう。
僕の人生にも。彼女の人生にも。
もちろん他の誰かの人生にも。

机は僕のじゃなかったし
ガイコツはどっかの
雑貨屋で買ったニセモノで
想像よりもずいぶん小さかったけど。

僕の家の前にある水銀灯の下で
それらは美しく輝いていた。
泣き笑う彼女とともに。

記憶はそこで途切れている。

その後、僕が何を言ったとか。
机やガイコツがどうなったとか。

今となっては
どうでもいいことだ。

思い出せるのは
水銀灯の光に照らされた
小さな机とガイコツの標本の
バカらしいまでの荘厳な輝きと。

何故か泣きながら笑う
彼女の可愛い顔だけで。

あとのことは何も憶えていない。

時はあまりにも早く流れ
記憶は夢のように儚い残骸となる。

彼女の行方を、僕は知らない。
・今日できることは明日やる
・苦しいことは分かち合い、楽しいことは独り占め
・運が悪くても死ぬだけだ

- 中島らも


umi

自分の人生はいったい
どこに向かっているか?

ということについて
考えることは
とても恐ろしいことだ。

やがて導き出される結論は



でしかないからである。

死から逃れることは
できないのだ。

僕もあなたも可愛いあの子も。
100年後には影も形も何にもないんだ。

そこにあった喜びも怒りも哀しみも楽しみも。
愛も憎しみも眠さも怠さも。
死にたい気持ちも全部一緒に消えていく。

じゃなくて。

そんな大げさな話ではなく。

その前の話。

しかし。
どこに向かってるんだ?

運が悪くて死んでしまった
中島らも氏亡き今。

僕らはどこに向かってるんだ?

どこにも向かっていないのか。

森で迷うヘンゼルみたいに。

ぐるぐると同じところを
回っているのかもしれないし。

さっき見たキノコを
またしても発見したりして。

けどヘンゼルには
グレーテルがいたからね。

それはそれで。

僕とは違うね。

どうでもいいね。
そんなこと。

てなことを。
金曜日に会社の会議室を
1人で借りて。

いやー1人ブレストです。
つらいですねー。
Brainstorming alone.

とか言いながら。

考えるつもりで
ぐーぐー寝てた。

ダメ人間か。
オレは。

いやしかし。
どこに向かうべきか。

果たして、夢と憧れの
栄光の未来はどこに。

4LDKとキレイな嫁と
僕のことをパパパって呼ぶ
愉快な子供たちはいまやどこに。

どこにいけばいんだ?

とか思いつつ。

そんなこと知ったこっちゃない。
という気持ちもございます。

知るか。

と。

いずれにせよ
嵐はいつかやってくるわけで。

この退屈で穏やかな日々も。
プーマのジャージを着て
ヘラヘラ笑っている日々も。

愛も憎しみもない日々も。
おそろしく美しく晴れた秋の日に
デートする相手もいない日々も。

そのうち嵐がやって来て。
メチャメチャになって
やがて失われていくんだろう。

って。

それはそれで。
まーいーじゃないか。

と思う。

子供の頃、
台風が来る前に去来した
不謹慎な期待感を。

全てを失って
余りあるほどの嵐の脅威を。

心のどこかで感じつつ。

今日も僕は
退屈な一日の終わる頃
夜も眠れずワクワクする。

そろそろ嵐こねーかなー。
いや、こなくていいよ。

明日ガッコウ休みにならねーかな。

って。
邪悪な人を見抜くには
じっくりと声を聞いてごらん
自慢する時の声と 自信のない時の声は同じ
取り引きをする時の声と 嘘つく時は同じ

- 斉藤和義

pancake

じいちゃんは、
老人会の集まりに僕を連れて行ったが
子供会の集まりにもついてきた。

子供会でパン工場見学に行ったときにも
当たり前のようにやってきた。

真っ白な頭髪にソフト帽をかぶって
昆布茶色の着物をきて
腰を曲げて杖をついて。

ワシも昔は子供。

とか言いながら。

バスの中ではバスガイドさんの代わりに
道案内をしていた。

道、じゃ。

とか

空、じゃ。

とか言いながら。

途中で言うことがなくなると
どんどん話をつくるようになった。

あ、あの家。
××が××でな。
若い夫婦が××××だから。
子供はぜったい××××。
はい、千円。

とか言いながら。

パン工場に着くと
工場の案内役の人を黙らせて
ウソしか言わなくなった。

あー、パンはな。
パンの木があってな。

とか。

そっから粉はできるな。

とか。

噛み終わったチューインガムの菌を入れるのな。

とか。

フトンと同じ原理な。

とか。

焼くときにぱーんって鳴るぞ。

とか。

だから、パン。

とか言いながら。

僕らはきゃっきゃと言いながら
じいちゃんの言葉を全部信じて
そのまま何年か生きた。

ときにそのことで
ケンカなんかもしたりして。

今日、ほとんど忘れてしまった
ウソとともに
じいちゃんのことを思い出す。

10年以上前の今日、
じいちゃんは下痢して
ウンコしてる最中に
便器の上で心不全で死んだ。

いい死に方だった。
あの頃のじいちゃんのウソを
全部思い出せたら、と思う。

こんなくだらない文章は
書くのをやめて。

じいちゃんのウソで
埋め尽くすのに。

声さえ思い出せない。

あの張りのある自信に満ちた
ウソをつくときの声を。

誇りと確信に満ちた
ウソをつくときの声を。

死んでよかったなー。
じいちゃん。

パンは小麦粉で
できてるらしいぞ。

知ってたろ。
年を重ねるにつれて学んだことなど、ほとんどない。
年をとると喜びを感じるようになるとか、
ある種の知恵がそなわるとか言うが、それは全くのでたらめだ。
私は何の知恵も、見識も、円熟も得ることはなかった。
今になっても、かつてと全く同じ間違いを繰り返すだろう。

- ウディ・アレン

summer

なんか。
日曜日。

ほぼ一日中。
寝てた。

寝てたっつーか。
微睡んでた。

と書いて。

まどろんでた。

と読みます。

雨。
降ってるし。

風邪ひいたし。
熱とかあるし。

無為に過ごすのもよかろう。

と僕の中の
ちっちゃい老師がつぶやくので。

寝ていたのだ。

誰やねん。
老師って。

ちっちゃい老師って。

んで。

ぐーぐー寝てたら
母親が電話してきて。

ねーちゃんの結婚式の日取りとか
決まったから

あんた来る?

みたいな用件だった。

合コン並みに
軽い誘いぶりだった。

来年3月だってさ。

まーそんな先のことはわからんしなぁ。

生きてたら行きますわぁ。

とか言って電話切った。

しかし結婚式って。
恥ずかしいよなぁ。

自分がそんなことをしたら
恥ずかしさのあまりに死んでしまうな。

とか38.5℃の頭で思いつつ。

ジャージ着て
近所のスーパーまで歩いてって。

風邪の時は
やっぱ

おかゆか。
鍋焼きうどんかね。

って僕の中の
世話好きなおばさんが言うから。

うどん

とか買ってみたけど。

やっぱ料理とか無理なんで。
めんどくさいんで。

冷蔵庫にほったらかして。

クスリ飲んでグーグー寝てたら。
アパートの大家さんが来て。

ビタミンCとった方がいいよ。

ってミカンくれた。

すっぱいミカン5個。

んで。

微妙に乾いてるミカン食べながら。

あーあー。
昨日の夜はよかったよなー。

高熱にうなされて見た夢じゃないよなー。
マジで現実だよなー。

とか思いつつ。

明日ちゃんと仕事できるんだろうか、オレ。

とか思いつつ。

家に帰ったら
必ずウガイをしてくださいね。

って昨日行った病院の先生が
言っていたのを思い出し。

ウガイしてみた。

ガラガラっと。

乾いた部屋に。

ガラガラっと。

乾いた音が響くので。

外ではまだ雨が降ってるけれど。

僕は一人で。
もう寝よう。

みんな
いつもありがとう。

風邪ひくとなんか
弱気になりますね。

どうか
風邪に気をつけて。

明日は一生懸命
がんばろう。
こみ合へる電車の隅に
ちぢこまる
ゆふべゆふべの我のいとしさ

- 石川啄木

BAT

こないだから。
何かを書こうとして。
やめてしまっている。

つーかまぁ。

なんかこう。
書こうとしてることが
あるんすけど。

どうもねぇ。

うまく行かないですねぇ。
何事も。

まぁ人生で何事か
うまくいったことがあんのか?
と聞かれたら。

もうそれはもうないんですけども。

まー断言するのも何なのですが

ないなぁ。

毎日妥協の連続なわけでございます。

難しいことは投げ出したいしね。

日曜日になかなか眠る気にならないのは。
眠ると月曜日の朝が来てしまうからであり。
月曜の朝に起きるのは世界史上最悪のことであり。

月曜の朝ってなんか最悪ですよね。
もう死にに行くみたいな顔して電車に乗って。

やーそういうのってよくないなー
とか思ったりもするけども。

まーけどいやですね。

なんだろう。
このやる気の出ない感じは。

まーなんだろうって言われてもね。

しらんな。

とりあえず行くしかねぇ。
生きていくなら行くしかねぇ。

とか思いつつ。

まーけど。
休日がバットマンみたいな
過ごし方じゃなくて良かったよ。

バットマンって大変だよなぁ。

まーバットマンなんかホントはいないんだけど。

仮面ライダーもウルトラマンも
ガンダムもマクロスも何もかも。

ホントはいないんだけど。

まーホントはいないってことを知るのも。

またつらいもんだね。

オトナって大変だね。

いや、でもねーか。

そうでもないな。

そういうことじゃない。