食欲がなく、やる気が起こらず何も出来ない。
そんな日々が数日続いた。
カウンセラーに話すと、
「うつ病によく似た症状ですね。ナナセさんはうつ病ではないけれど、症状はよく似ています」
と言われた。
カウンセリングで話した時には、既に一番辛い時期は超えた後だった。
カウンセリングは予約制なので、今辛いから話を聞いてもらえるというわけでは当然ないので、いつも事後報告になる。
うつ病・・・・・・・・。
その言葉はズシリと私にのしかかった。別にうつ病だと診断されたわけではないが、症状が似ていると言われた事が気にかかった。
病院で言われたことを、主人に話してみる。
「違うんだから気にすることない、カウンセリングに行って逆にへこむなら行かない方がいい」
と、ばっさり切られた。
わかっているけど、心がもやもやするから聞いてほしかったんだよ。
私が落ち込んでいる事に、あまり気づいていなかったみたいだから、数日これくらい落ち込んだって知ってほしかったんだ。
私が一人寝室で泣いている時に、
「泣くと体力消耗するから、はよ寝なさい」
と、メールを送ってくれたのは、主人ではなくA先輩だった。
それまでメールはしていたけれど、私は泣いているなんて書かなかった。なるべく明るく返信していた。
でも、私が泣いていると思ったのかそんなメールをくれたのだった。
メールを見て私は驚いた。
なんでわかったんだろう?付き合いが長いからわかるのかな。
今までも激励のメールを何度ももらったけれど、一番短くて一番心に響くメールだった。
私は携帯電話を握りしめ、泣きながらも眠りについた。
そんな事は主人は知らない。
不倫をしているわけでもなく、やましいことは何もない。けれど、その時私を支えてくれたのはA先輩の言葉だった。
主人は一緒に暮らしているから、毎日の生活の中励ましたり慰めたり、そういうことは少なくなっていた。
「喋れない私」が定着していて、それが普通になってきているのかもしれない、そう感じた。
早く話せるようになって欲しいという気持ちは、私の次に強いはず。
そばに居すぎるから、私が痩せた事にも気が付かない。
たまに合う他人だからこそ、親身になって優しい言葉をかけてくれる余裕があるのかもしれない。
毎日一緒に居たら、そうはきっと出来ないのだろう。
気にしてほしい、優しい言葉で励ましてほしい自分と、放っておいて欲しい自分。
話せるようになりたい自分と、このままで居たい自分。
複雑な気持ちが交錯していた。