カストラート。
お菓子の名前じゃありません
中世ローマ、15世紀から19世紀初頭まで存在した男性オペラ歌手「カストラート」達のことです。
※以降、映画「カストラート」より画像をお借りします
彼らは驚異的な歌唱力を持ち、他のどのパートの歌手にもその歌声は真似できなかったといいます。
彼らの歌声とはどんなものだったのでしょう。
そのルーツは幼少期まで遡ります。
「カストラート」の候補になった少年たちは幼少期に去勢されます。
しかし成長ホルモンは変わらず分泌されるので体格は青年男性の様に育ちます。
ですが一方で男性ホルモンは無くなってしまうので「声変わり」をしないのです。
青年男性の体格・肺活量で、変声期前の高音域を出せるので、その歌声は他のどのパートにも真似ができなかったとか。
また、去勢により情緒不安定な者もいましたが、それは歌唱という表現の世界ではむしろ歓迎されるものでもありました。そこは悲劇でした。
しかしなぜこれらが過去形かというと、現在は人道的な見地から「カストラート」を生み出すことは禁止されているからです。
下記のYOUTUBE映像は17世紀に実在した最も有名なカストラート「ファリネッリ」を主人公にした映画「カストラート(1994年)」のワンシーンです。
現在、カストラートの歌声を完全に再現できる歌手はいないため、この映画ではフランスの電子音楽研究機関(IRCAM)がデジタル合成で歌声を再現しています。
女性の高音域ソプラノと男性の高音域カウンターテナーを別々に録音し、デジタル合成して作り上げています。
ぜひ聴いてみてください。
和訳
Lascia ch'io pianga/私を泣かせてください、
la cruda sorte,/私の残酷な運命に
e che sospiri la libertà./そして、私が自由に恋い焦がれることを。
後半、失神してるのはこの楽曲を書いたヘンデルです
様々な事情から「この曲がお前なんかに歌えるものか!」と言っておりましたが、ファリネッリは完璧に、むしろその先をいく歌唱力で歌い上げました。
生で聴いてみたいものです。