建築のプロが自邸を建てる。

 

今回用意できる予算は3000万円です。

今回は自邸とはいえ、「もっぱら自らが居住する家」ではないいわゆるセカンドハウスですので、

住宅ローン控除や、住宅取得等資金の贈与非課税の特例が受けられません。

3000万円の大半は私の親がこのために用意した資金ですので無駄遣いはできません。

 

普通に住宅を計画されている方でしたら、住宅ローンを利用されることを強くオススメします。

 

今、景気活性化のために日銀が「マイナス金利政策」を発動しており

住宅ローンの金利がかつてないほど低水準で推移している他、

住宅ローン控除を利用すれば10年(または13年)間金利が残高の1%分所得税・住民税から

控除されるので、大きな金銭的メリットを享受できるのです。

 

本来でしたら親から3000万円贈与してもらい住宅を取得すると

将来の相続税の対策になり有利なのですが、先程述べた理由によりこれが使えない。

 

で、私も一人転居して住民票を変えれば良いのですが、それもなかなかやりにくいので

今回は私の親名義で建てることにします。

 

まぁ、親の所有の土地で、親が住んでいた旧家を壊して建て替えるのだから

それはまぁふつうのコト・・

 

ただ、新居の内容は「あなたに任せる」ということですので

施主である私の両親の要望をヒアリングしようということになりました。

(あれ?施主がいつの間にか私じゃなくなってる?)

 

父親の要望

「特になし」

 

母親の要望

「週末にリゾート感覚で泊まりに行けるような家」

「ホテルライクで掃除など手間のかからない家」

「友達や孫を呼んでワイワイガヤガヤできる家」

 

それだけ?

 

「それだけ。」

 

どうやらデザインや性能については全く考えがないようです。

 

3000万円の予算で土地ありだとしても

外構工事や地盤改良などの付帯工事

水道の引込等の諸費(今回は浄化槽も必要)

カーテンやエアコン、それに家具や家電

登記関係の諸費

解体工事費・・・

引っ越し代や火災保険料・・

それから消費税!

 

さらにゼロエネ住宅実現のための太陽光発電等を考えたら

 

建築本体の他に約1000万円余分にかかってしまいます。

 

いいですか?住宅の予算は家の値段だけじゃないんですよ。

 

総予算=「家の値段」+「付帯工事費」+「諸経費」+「家具・家電」+「消費税」+「土地の値段」

 

ということで土地代とは別に家の値段プラス500万~1000万円ほど

かかるということを覚えておきましょう。

 

つまり

本体995万円の家であっても土地代が1000万円なら2000万円で住める!ということではなく

3000万円用意できないと実際に住むことができないということです!

 

これは当社が特別高いということではなくて(今回は立地上普通より高価になりますが)

どこのハウスメーカーや工務店でも同じことが言えるのに、あまり教えてくれないんですよね。

 

もちろん「地盤改良がいらない場合」や「家電や家具は新たに買わない」

「古家の解体がない」

「外構はほとんど何もしない(砂利敷きのみ)」であれば予算を絞れます。

 

で、今回の施主は私なのか親なのか微妙なところですが

親名義にして建てたほうが将来の相続時に減価償却の効果で節税できるとの結論に至りました。

100年持つ家でも木造であれば22年で資産価値(あくまでも税金計算上のね)がゼロになるという

考え方を逆手に取った方法です。

 

不謹慎なようですが、税金は払いすぎても後で文句を言えません。

お客様にもアドバイスしていますが正しく税金を納めることが大切なのです!

もちろん私の両親は元気で、まだまだ相続は先であってもらいたいものですし、

両親が喜ぶ住まいというのも今回の大きなテーマです。

 

そんなこんなで「建築のプロが自邸を建てる」の根本が崩れ去りかねない判断ですが、

あくまでも親の要望を聞いて私が建てるということでお許しください・・・