2011年 日本の大学では初となる建築学部が二つ誕生する。


一つは工学院大学建築学部。


もう一つは我が母校近畿大学である。


両校とも元々建築学科は存在し


理工学部または工学部 等に所属していた。



建築学科は


理系学部に所属していたにもかかわらず


美術演習などの文系的要素の濃い科目も


必修にあり、少し特殊な学科であった。


(女性モデルによるヌードデッサンの授業もあり


その授業だけなぜか生徒数が莫大に増えていた


ことも懐かしい。)



建築学部設立の狙いは


現在の理工学部建築学科をさらに高度で広範、専門的な教育と研究を展開し、建築分野の最前線で活躍する人材を数多く社会へ送り出すこと(近畿大学)


日々変化する社会ニーズに対応して、建築や都市生活にかかわる多様な分野の専門家を養成すること(工学院大学)


とあるが・・



それは学部設立で解決するのだろうか。



学部を新たに設立することで学校からの配布予算が増え、


建築学科(後の建築学部)に対する予算は今までよりも


潤沢になる効果はあると思うけど


建築業界は今、人が余っている状況であります。



この不況かつ少子化の現在


就職停滞で大学への進学率は増えるだろうけど


なにせ生徒数の分母が少ない中


建築学部への入学は果たして成り立つのだろうか。



私たちが就職した時はまだ売り手市場だったので


内定を何社ももらえた今に比べると良い時代であったが


それでも 「建築はつぶしが利かんからねぇ」


(建築学科は他の就職口がないからねぇ)


と建築の世界に骨身を埋める覚悟で就職したものが多くいたと思う。


(逆にそれが建築に対するモチベーションとなって今に至るのだけど・・)


建築学部はつぶしは利かない。


建築学部に入る時はそれぐらいの覚悟はして入学して欲しい。


建築は素晴らしいですから・・一生建築人を貫こう!!



ともあれ、せっかく建築学部が出来るのだから


今までにないカリキュラムで未来の建築人を育てて欲しい。


建築を志す者はスポーツ・医学・芸術・歴史・心理学


いろいろな分野に専門的でなくても理解している必要がある。


最低限の知識がないと診療所もフィットネス施設も音楽ホールも


設計することはあり得ないのだから。



大学という貴重な場でいろいろな知識を得ると共に


建築に対する愛情を育む機会になればいいと思う。



ちなみに工学院大学は


まちづくり学科、建築学科、建築デザイン学科の3学科体制



近畿大学は単一学科240名定員で


建築工学専攻(仮称)、建築デザイン専攻(同)、住宅建築専攻(同)、企画マネジメント専攻(同)の4つの専攻


を設ける予定だそうです。