長文につき、覚悟してご覧ください(笑)

グレン・グールドといえばゴールドベルク変奏曲。
モーツァルトやベートーヴェンのソナタでも、素晴らしく個性的な録音がありますがグールドのインテンポであるいは無感情とも取れるような演奏スタイルはバッハがいちばん似合っているような気がします。
そして、ゴールドベルク変奏曲。
このつまらない音楽を(失礼)最後まで楽しませる演奏はグールドをおいて他にないと思います。
彼は1955年と1981年の2回この曲をレコーディングしています。
最初の録音はレコードデビューアルバムで、2回目は公式には最後の録音(翌年死去)となりましたのでコンサートを捨てたレコーディングピアニストとしての最初と最後をこの曲で締めたということになります。
ワタシが最初に聞いたのはデビュー盤。LPでした。
グールドらしい速いテンポで(全曲で39分弱)無表情に演奏され、音源もモノラルだったこともありほとんど印象に残りませんでした。
ずいぶん経ってから、CDで再録(1981)を聞いて、そのスピードの遅さにビックリ。(全曲51分) しかし、この解釈がとても生命感あふれ楽しそうで、ゴールドベルクが好きになった瞬間です。
その後、ゴールドベルクといえばグールドの再録を聴くようになっていたのですが。
グールド(グレン), バッハ
こんなCDをたまたま見つけ、思わず買ってしまいました♪
1955年のモノラル演奏を、タッチの速度・圧力・ペダリングなどコンピュータで細かく解析し、ヤマハの自動ピアノで再生した、いわばリミックスバージョンです。(オリジナルはスタインウェイだったらしいですが)
ここだけ聞いたら単なるキワモノCDで、ピアノ演奏を生業としている相棒も
「そんなCD買うんじゃねー」
なーんて言っていたのですが
気になったのはバイノーラル録音ってやつ。
演奏しているピアニストの耳の位置に集音スピーカー(当然両耳別々に)を設置しヘッドホンで再生すればあたかもグールドが実際に弾きながら聞いていた音を再現できるらしい。
録音マニアとしては買うしかないでしょう。(いつから録音マニアになったんだ)
実際に聞いてみて、自動ピアノの再現性に驚愕しました。
何も説明がなければ、リアル演奏に聞き違えてしまいます!
日本人の技術って本当にすごいですわ。
相棒も、その再現能力はすごいと認めていました。
(でもこのゴールドベルクの解釈は好きじゃないらしい)
んで、バイノーラルはどうかって言うと、ビミョー(笑)
だいたいグールドは鍵盤の近くで抱え込むようにピアノを弾いていたはずだし
(もしかしたらデビュー時は姿勢が良かったのかな?)
だいいち、うなり声がない!!!(自動演奏だからあたりまえ)
グールドを体験するため、自分でウーウー言いながらヘッドホンで聴いていました。ちょっと人には見せられない光景です(笑)
結論:ゴールドベルクはやっぱりグールドの1981盤。
グールドが好きになったら月光の3楽章やモーツァルトのK310を聴いてみよう。フィギュアスケートの大技を見た時のような、息つく暇もない感動が味わえます。