25日、能登半島沖を震源にマグニチュード7.0相当の地震が発生しました。


今日は、予定の一部を変更してこの地震にちなんだ建築話をお送りします。


なんてふざけている場合ではありませんね。


余震も続き予断も許さない状況だと思います。


被災地の方は何かと大変だとは思いますが、大きな二次災害が起こりませんように。


また、一日でも早くの復興をお祈り致します。




さて、突然ですが質問コーナー~


日常の素朴な疑問に建築士のたぶたがわかりやすくお答えしちゃいます!


Q 新耐震基準のもとで設計された建物は地震では壊れないんですか?

お。最初からいい質問だねぇ。結論から言うと答えはNOです。


1950年に建築基準法が制定され、何度も構造に関して改正が行われてきましたが、

1978年の宮城県沖地震を機に建築基準法の大改正が行われました。

1981年(昭和56年)6月から施行された新しい構造基準を、新耐震基準と呼んでいます。
それ以後現在までに建築された建築物は全てこの新耐震基準に基づいて建築されています。


その後1995年の兵庫県南部地震では新耐震基準の建築物の倒壊は
ほとんどありませんでした。
  
さて、壊れるのか壊れないのかという質問ですが
新耐震基準でも大きな地震が来ても壊れないというのが大前提です。

「じゃあ。壊れないじゃん(ハマッコ)」


と言うことになりますが、いつまでも壊れないということではありません。
  

考えてみてください。第一波が震度7、マグニチュード8.0だったとして
その規模の地震が第2波、第3波と5分おきに3回来たとしたら
どんな建物だって無事だとは考えにくいでしょう。
または、1回の地震は普通長くて十数秒ですが、これが1分間続いたとしたら・・
  

次項でも書きますが我々の常識を越えた地震だって起こる可能性があるんです。

建築基準法の新耐震基準では大前提としてこう考えています。
 

 「まれに発生する大地震が起きた場合、建物を使う人の安全を確保すること。」
  

簡単に言えば
 

 「中に住んでいる人が外まで避難するのに十分な時間、建物が倒壊しない。」
ということを基準化しているに過ぎません。


当然、想定外の大災害の場合効力がありませんし
「家具の下敷きになった。」「有毒ガスが出て窒息した。」
「建物の外に飛び出した瞬間バイクにはねられた。」
ということも安全確保という意味では想定外ですね。


私の建物は絶対壊れない。

残念ながらこう言い切れないのが現在の建築の現状です。



Q じゃあ具体的に震度いくつまでは大丈夫なんですか?


結果として新耐震基準では兵庫県南部地震時の最大震度7に耐えたのですから

その震度までは少なくとも大丈夫(あくまでも逃げるために倒壊しない限度)ということになります。

ただし、今まで記録が残っている想定範囲内の地震が起こった場合に限ります。

普通、医薬品でも食品でもサンプリングというのは小動物を含めて何千、何万というロットから

数値をはじき出すため、かなり信頼の置ける結果となります。

しかし、建築における地震の過去データは、正確な記録が残っているのが

せいぜい100年ほど前までで、その以前は地層等から想像しなければなりません。

つまり、サンプリング母数が数十件しかないのです。

ですから、地震が起きるたびに我々の想定を超えるデータが出る可能性が

多々あるといえます。

また、その断層が置かれている地理的条件、震源の深さ等から一概に震度の数値によって

被害を想定できないので、誰も「震度7まで大丈夫」とは言えないのですね。

しかし、ご安心ください。

この想像を絶する大地震は200年以上の周期で起こる可能性があるに

過ぎないと言うことです。

また、逆に言えば震度8でも壊れるというわけでもありませんし。

建物を安心して使い、過ごし、思わぬ災害時の対策をあらかじめしておくこと

(避難場所を確認しておくなど)が重要だと思います。

Q 1981年5月以前に建築された建物に住んでいます。

引っ越しした方がいいですか?


もし、自分が住んでいる建物が心配なら、耐震診断を受けることをおすすめします。

建築士に依頼すれば、比較的安価(3万円~5万円程度・木造の場合)で

耐震診断を受けることができます。

私も依頼されて数件調査を行いましたが、たとえ、基準値以下の結果が出ても

家に手を加えることで(たとえば屋根の瓦を金属板にし軽くするなど)

基準値に近づけることができます。

もちろん、そのままで基準値を満たしている物件ももちろんあります。

ただし、建築時だけが原因ではなく、住まいをされてからのお手入れやメンテナンスが

耐震強度を幾分左右すると言うことも頭の片隅に入れておいてくださいね。