シックハウス患者会が大阪で開かれたと言うことで招待を受けた。


この患者会と言われる場に参加するのは2度目である。


ワタシは幸いシックハウス症候群では無いのだが


罹患された方々の体験談を聞くと本当に日常生活が大変なようである。


まず活性炭入りのマスクは年中手放せないし、行き先のお店、会議室に入ったとたん


吐き気や頭痛などで、その場にとても居られないそうだ。


外的なことで行動を制限されてしまう患者さんは本当に辛いと思う。


我々は建築士として参加し、傍聴させて頂いたのだが


シックハウス・シックスクールについて建築士としてどこまで立ち向かっているかと


言うことを考えてみた。


ご存じの通り、2003年7月の改正建築基準法によって


ホルムアルデヒド(主に接着剤)・クロルピリホス(シロアリ駆除剤)の使用が禁止または規制され


居室(人が日常生活する部屋)に換気扇の設置が義務づけられた。


法律で規制された有機化合物はこの2種だけというのが現状。


もっとも、住宅性能表示等でトルエン・キシレン・エチルベンゼン・スチレン・アセトアルデヒドの


室内濃度の測定を求めることが出来るが、検査料は有料で、あくまでもオプション扱いである。


従って、一般的に建築関係者(設計・施工)が日常気にするのはホルムちゃんとピリホ君だけと言える。


当然、シックハウスやシックスクールにかかった方は、この2種以外の化学物質にも多様に反応がある。


身体に害があるかどうかわかっていないものを含めると現在地球上に5万種以上の


化学物質があり、尚、年々増え続けていると言う。


その全てに網羅して化学物質を管理した建築をするのはとうてい無理である。


(当然、家具やおもちゃ・食品・衣料にも何らかの化学物質(もしくは有機リン化合物)は含まれている。)


全ての責任を建築になすりつけることはナンセンスである。


しかし、法律が通ればそれで良いという次元で建築に携わるのもどうかと思う。


ワタシも含めて建築関係者は臨床にも踏み込んで、まだまだ勉強していかなければならない。


そして、自分の身体を守るためには施主ももっと勉強して施工者、設計者をリードしていかなければならない。


「どっちが悪いか」と裁判することが最善の方法ではないだろう。