6月30日付のニュースで

那覇市の倒壊のおそれがあるマンションに一時帰宅を許可したとのこと。

居住者に限り、また20分以内と限定したものであったが

まだこの時期なら倒壊しないと判断した結果であろう。


ただし22日付の報道でこのマンションを全壊と認定し、被災者生活再建支援法の適用を決めている。

天災による被災と認定をしたということである。


私は現地を見たわけではないが、テレビや新聞で見る限りかなり傾いており

「住民の安全を確保する」という建築物の大前提を保証できないことは見てとれる。

既に報道されているとおり、修復は不可能で解体の上建て直しということになるのだろう。


現在のところ、今回の地すべり損傷について建築士に責任は追及されていないようだが

建築基準法施工令第93条には地盤調査等を行い地盤及び杭の許容応力度を求めるよう

定められているので、建築士としてこの問題に全く関わりをもたないということはできない。


また、地震時の液状化の可能性がある地盤の場合、別の算定方法で安全を確保することになっているが

その根拠は周辺データと算定式に頼るしかなく、あくまで机上計算の枠に過ぎない。


さらにこれはどうしようもないことかも知れないが、建築基準法は地震・強風・積雪以外の天災に

ついては明確な記述が無く(またこれらも一定の範囲までで、想定以上の地震や積雪に対応できない)

今回の大雨のように、周囲の土地全体が崩れたり浮き上がったりすることは想定していない。


つまり、現状建築に関わる危機対策の上で、地盤に関わる問題に100%対応することはかなり難しい。


天災が起きた時には最低限人命を守るという建築基準法の考え方の通り、我々建築士は法規ぎりぎり

ではなく、過剰にならない程度の余裕も持って設計・施工をしなければならないと思う。


被災された住民の方々、オーナーまた関係者の方々にお見舞い申し上げます。