国交省が現在の一級建築士全員に再試験をさせてふるい分けるという素案を発表した。

一級建築士の身からすればその追試の対象になるのだから気が気ではない。

正直言って今再試験を受けることになれば絶対通るという自信は私にはない。

おそらく多くの一級建築士がそう思っているのではないだろうか。


そもそも何でこんな事になったのだろうか。


原因は例の耐震偽装事件や、二級建築士が業務の範囲を超えて設計を行った件、名義貸しの一件

など『建築士』のモラル低下が引き起こした騒動が発端である。


この一連の騒動で『建築士』という職業が広く世間に知れ渡った。いみじくも。


ユーザーからすれば『建築士』大丈夫なん?という風潮が広がっていることは確か。

正直こういった不祥事がまだまだ水面下に無いとは言い切れないし

私も『政治家』や『医師』の全員が全く潔白だとはとうてい思えない。


しかし彼らのの大部分がおそらく潔白であるのと同じように

建築士もほとんどの人がまじめに誠実な仕事をこなしていると信じている。

私ももちろん後ろめたい仕事をしたことはない。


しかし、今回の国交省の建築士法改正素案は


「建築士全員が疑わしい」と決めつけている。


私はこの判断がとても悔しいし悲しい。


BSE問題を思い出す。

一頭疑わしい個体があれば全頭について調査し、疑わしきを処分する。

鳥インフルエンザにしてもそう。

しかしこれらは伝染であり、遺伝であり、エサに具合の悪いものが混じっている可能性があるから

全頭検査なのである。


この全頭検査を『一級建築士』に当てはめるのはいかがなものであろうか。

この問題は建築社会の脆弱性が原因とはいえ、個人のモラルに関連するところが多い。

決して伝染するものでもなく、エサに骨髄が混入したものでもない。


私はこの素案が国会で可決されないことを祈っている。

ほんと。生活かかっているんだよ。


だったら再試験に通ればいいんじゃない?


全くその通りである。

必死で勉強しないといけないだろうけど

もう一度合格すればすむことである。


しかし、こうなれば今まで認めてきた国家資格を否定する事になる。

国は自分で自分の首を絞めることになるし

果たして再試験することで受かった建築士が世間で完全に認められるという結果になるだろうか。

悪いのは能力じゃなくてモラルだろ!

どうしてもというなら日本建築士会連合会が提唱している専攻建築士制度を普及させればいい。

CPDによる継続的能力開発を行えば十分ではないか。


やっぱりどうしても納得いかないので思いの丈をぶちまけてみました。