懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

『腰抜け二挺拳銃』(1948年/監督:ノーマン・Z・マクロード)は、西部劇史に残るコメディ西部劇。

入獄していたカラミティ・ジェーン(ジェーン・ラッセル)は恩赦を条件にインディアンに武器を売っている密売人捜査の密偵になります。ところが、当局の中に内通者がいて秘密計画は密売人一味に筒抜け。一味に襲われた彼女は、お人好しの歯科医ポッター(ボブ・ホープ)の馬車に飛び乗り、武器が運ばれている幌馬車隊に加わり、密売人がいる町へ。途中でポッターが道に迷い、インディアンに襲われますが……

西部劇のパロディといっても、戦前の西部劇の定型パターンがネタになっているので、若い人にはピンとこないかもしれませんね。それでもボブ・ホープの軽妙なギャグは笑えます。この作品は、日本では1949年12月(50年の正月映画)に公開され大ヒット。日本での最初のカラー西部劇でした。この作品の前にカラーで撮られた『西部魂』や『モホークの太鼓』が公開されているのですが、日本での上映はモノクロフィルム。ちなみに、日本での最初の正統カラー西部劇は『サン・アントニオ』です。

劇中でボブ・ホープが小型アコーディオン(コンサーティーナ)を弾きながら歌った「ボタンとリボン」は、アカデミー主題歌賞を受賞しています。ダイナ・ショアがカバーしてミリオン・ヒット。「ボタンとリボン」といえば、今ではダイナ・ショアの歌の方が有名。日本では池真理子が日本語でカバー。

画像は、ジェーン・ラッセル。身長173センチ、体重61キロ、バスト91センチ、ヒップ97センチと大型グラマーぶりを見せ、1950年度のピンナップ女優1位でした。

 

『腰抜け二挺拳銃の息子』(1952年/監督:フランク・タシュリン)は、『腰抜け二挺拳銃』の続編。

二代目ポッター(ボブ・ホープ)は父が隠した金貨を求めて西部の町へ。酒場で歌手のマイク(ジェーン・ラッセル)と知りあいますが、彼女は盗賊の一味。盗賊一味を追っている役人がロイ(ロイ・ロジャース)で、ポッターが盗賊一味に狙われていることを知り……

前作の『腰抜け二挺拳銃』の評判が高く、続編の方はあまり知られていませんが、前作に劣らず面白いです。シンギング・カウボーイのロイ・ロジャースの出演により、音楽面は前作より優れていますね。酒場で主題歌の「ボタンとリボン」をボブ・ホープがジェーン・ラッセルとかけ合いで歌うシーンは愉しいですよ。この酒場のシーンはジェーン・ラッセルも魅力いっぱい。ロイといえば、愛馬トリッガーの演技も素晴しいです。ホープとひとつのベッドに一緒に寝て、毛布を奪い合うシーンは大笑いしました。豊富なギャグだけでなく、カメオ出演者の楽屋落ちも映画ファンにとっては嬉しいものですね。ビング・クロスビーが出てくるのは、ボブ・ホープの映画を観ている人なら誰でもわかりますが、写真技師役でセシル・B・デミルが出ていたのは気づかない人がいるんじゃないかな。何故デミルが出演したかというと、デミルが監督した『地上最大のショウ』にホープがカメオ出演したからなんですよ。ついでに、写真技師の助手役はプロデューサーのロバート・ウェルチでした。

ちなみに、『地上最大のショウ』についてはココヘ⇒地上最大のショウとサーカスの世界 | 懐古趣味親爺のブログ (ameblo.jp)

 

『腰抜け千両役者』(1950年/監督:ジョージ・マーシャル)は、英国の執事になりすましたヘボ役者が西部で英国流の行儀作法を教えようとする喜劇映画。

1900年代の初め、ニューメキシコの成金奥様(リー・ベンマン)が娘アガサ(ルシル・ポール)に淑女教育をほどこすためロンドンにやってきます。お金目当ての偽伯爵がアガサに目をつけ、役者のハンフリー(ボブ・ホープ)を雇って執事に仕立て、邸宅を借り受けて母娘を招待。奥様は偽伯爵より執事のハンフリーが気に入り、西部の田舎者に英国流の行儀作法を知らしめるためにハンフリーを連れて帰ります。アガサの父マイク(ジャック・カークウッド)は娘が伯爵と結婚するものと勘違いしたため、ハンフリーは英国伯爵と間違われて町は大騒動。アガサに恋している乱暴者のカート(ブルース・キャボット)はハンフリーを狙いますがうまくいきません。旅行中のルーズベルト大統領が町にやってくることになり……

ボブ・ホープが主演で舞台が西部となると、どうしても『腰抜け二挺拳銃』を思いうかべてしまいますが、残念ながら西部劇のパロディは殆どなく、英国文化のパロディが中心。内容も『腰抜け二挺拳銃』や『腰抜け二挺拳銃の息子』より格段に落ちる出来ばえ。ホープはさかんにジョークを連発するのですが、期待したほど面白くありません。アクション満載のキツネ狩りの場面が犬たちの好演もあって何とか愉しめる程度。相手役のルシル・ポールがテレビの『アイ・ラブ・ルーシー』や『ルーシー・ショー』で見せたようなアクの強さがなく、思ったほど可笑しくなくて失望しました。