担当者が改めて玄関まで案内してくれた。
そこは、会社に入った時から気になっていた。
そこには、数々の額縁が並んでいた。
数々の額縁の中から黄色い物を指さしながら、説明してくれた。
「これが『特許証』です。」
そこには、4つの特許証が並んでいた。
一つは「酸化チタンのコーティング」に関わる特許らしく、他の3つが今回の「新型インフルエンザバスター」に関わる物だった。
「ウィルス力価低下含有体」それが名称である。
「臨床試験で鳥インフルエンザウィルス300万個が50個以下まで減少しました。力価50000倍。この証明が大きな理由ですね。」
す、す、す、凄い!本当に凄い!300万が50個以下とは・・・殆ど死滅している。
「光触媒って、そんなに凄いんですか?」
「そんなに凄いんですよ。」
担当者は、笑いながらそう表現した。
そしてその特許証に、面白い名前を発見した。
「鯤コーポレーション」と並びで「住友商事ケミカル」の名前が・・・。
住友商事までが絡んでいる。これは、もう間違えない。
と云うか、特許がある段階で、凄い事は明白だった。
「あの~、特許って事は・・・他は出来ないって事ですよね。」
「そうですね。特許ですから・・・。同じ特許は取れないし、うたう事も出来ませんね。」
当り前だ。そんな当り前の事を確認するしかなかった。
「と云う事は、これ独占じゃないですか?!」
「う~ん、独占というか・・・まぁ特許は大変な価値がありますね。」
凄い。今まで仕事で取り扱って来た物の中でも、特許は初めてである。
しかも、上場会社までが絡んでいる。
こんな事があるんだ?それがその時の本音であった。
逆にふと思った。
「俺がこんな凄い物を取り扱えるのか?」と。
なんかドキドキしてきた。
(続く)