担当者が持ってきたのは、3枚のタイルでした。
一つは真っ白、後の2つはピンク色をしていました。
「この色はメチルレッドと云って、タイルに有機物が塗られています。実験なので、わかり易く色の付いたタイルを使います」
そして、そのまま外に出た。
時間はもう4時を過ぎ、夕方に近づいていた。
担当者は、赤いタイルの上に10円玉を置き、そのまま放置した。
「皆さん、タバコでも吸っててください。」
「いえ、私は吸いませんので・・・。写真撮ってていいですか?」
「どうぞ、どうぞ・・・」
他の方々が一服されている間、私は写真を撮ってみた。
3分程して、皆さんが帰って来た。
「もういいんじゃない?」
「そうですね・・・」
担当者は『本当はもう少しやった方が・・・』という感じだったが、時間も遅いのと、みんなやる事がなく時間を持て余していた。
実験は直ぐに終わり、また部屋へ戻った。
「どうですか?!」
そこで見たのは、先ほどの10円玉を取り除いたタイルと、残りのタイルの比較でした。
「もう少しやれば、真っ白になったんですが・・・」
担当者は、やはりもう少しやりたかった様である。
「これが光触媒です。有機物を分解します。短時間でも、また少しの紫外線でも、これだけの効果を出します。」
ここで、光触媒について説明しましょう。
酸化チタンと云う物をタイル(本来は外壁)にコーティングします。
そこに紫外線が当たると空気中の酸素、水分などと化学反応を起こします。
これが「光触媒反応」です。
この光触媒反応により、コーティング膜に「活性酸素」が発生します。
すると、ここに付着してくる「油」や「有毒ガス」など全ての有機物を分解します。
つまり、「汚れ」が付かない訳です。
それを色を使って見せてくれた実験でした。
メチルレッドは有機物で、これがたった3分程度の夕日で分解された訳です。
しかも、10円玉を乗せた部分は、紫外線が当たらなかったので、分解はされていません。
凄い!
これが「光触媒」の凄さだった!
全くの無知の中で、初めてこの目で見た「光触媒」は、結構感動モノでした。
担当者は更にこんな事を言い出した。
「そこで、うちはこんな物を取ったんです」
そこにあったのは、更に驚くべき事実でした。
(続く)