ミリ波とは波長が1mm~10mmの範囲にある電波
のことを言う。電波の伝播速度を30万kmとすると
周波数にして30~300GHzである。
なお波長が0.1~1mmの範囲にあり、周波数が
300~3000GHzの電波のことをサブミリ波という。
また10~30GHzを赤外線領域という。
ミリ波は周波数が高いため銅線や同軸ケーブル
では損失が大きく対応できない。通常は導波管と
呼ばれるパイプを使う。チップ内での短距離配線は
金属ではなく、誘電体のマイクロストリップラインを使う。
UWB(Ultra Wide Band)とは数GHz幅の周波数を使う
通信のことで広義には無線、有線を含んでいる。利用す
る周波数帯を限定していない。 ミリ波を使ってUWB伝送
することも可能である。
現在のUWBとは3.1G~10GHz帯のマイクロ波を使った
数m範囲の無線通信技術を指し、主にWireless USBや
Bluetooth3.0などが代表例である。
マイクロ波帯は既に周波数の利用先が決まっており、
広い周波数帯を使えず、また出力電力を制限して使う
などの規制がある。しかしミリ波帯では使用用途がまだ
決まってなく、広い範囲で使え、OFDMなどの高次の
変調技術を使わず、高速転送が可能となる。
ミリ波など高速周波数電波は、直進性(指向性)が強く
なる。これは周波数が高くなると回折現象による回り込み
の深さが弱くなるからである。回り込みの深さは
1/√周波数 に比例して減少していく。そのため無線
LANなど2.4GHz帯の信号とミリ波である60GHzの回り
込みの深さは1/5に減少する。ミリ波伝送は障害物が
無い場所に適している。
ミリ波の利用例
・ミリ波レーダによる車間距離検知システム
・60GHz帯を使った無線カメラシステム。
1.5Gビット/秒データ転送。HDTVを圧縮なしで転送可能。
トリノオリンピックなどで活用された事例がある。
・HDTV放送を60GHz帯にアップコンバートし、
室内で伝送し、HDTVでダウンコンバートしテレビに映し出す。
遮断周波数 (ft)
最大発振周波数 (fmax)
この遮断周波数や最大発振周波数とは増幅器の性
能を表す指標である。
遮断周波数とは電流増幅率が1になる周波数である。
電流増幅率とは 遮断周波数/使用周波数 である。
遮断周波数が300GHzであり、使用ミリ波周波数が60GHz
である場合、電流増幅率は5となる。
最大発振周波数とは電力増幅率が1となる周波数である。
この増幅率が高いと、すなわち遮断周波数、最大発振
周波数が使用周波数にくらべて高いと少ない段数で利得
を稼ぐことができ、段数が少なくなるので信号の歪が減少し、
またシステムを小型化することができる。
5GHz帯の無線LANでは ft が50G~60GHz帯の
トランジスタを使っている。CMOSトランジスタの設計
ルールが180nmから90nmと微細になるにつれて
ft が140GHzに達することが可能となった。
高速なトランジスタなどはMMIC化合物半導体材料で
製造されていたが、CMOS技術の発達により製造コスト
を抑えることができ、実用化に適することができる。
また波長が短いためチップ内でアンテナを生成する
ことが可能となる。アンテナ利得は
アンテナ長/信号波長 である。60GHzの場合、
波長が5mmで、そのためアンテナ長が2.5mmあれば、
無線通信で一般的なダイポールアンテナを実現できる。
モノリシックマイクロ波集積回路
(MMIC:Monolithic Microwave Integrated Circuit)
3k ~ 30k VLF
30k ~ 300k LF 長波
300k ~ 3M MF 中波
3M ~ 30M HF 短波
30M ~ 300M VHF 超短波
300M ~ 3G UHF 極超短波
3G ~ 30G SHF
30G ~ 300G EHF ←ミリ波帯