- 言ノ葉ノ花 (新書館ディアプラス文庫)/砂原 糖子
- ¥588
- Amazon.co.jp
BLCD「言ノ葉日和」 を聴きました。
(タイトルクリックで公式詳細ページに飛びます。)
2012年12月交換開始 原作:砂原糖子
出演 神谷浩史 小野大輔
紆余曲折の後、深く結ばれた余村と長谷部。久しぶりに重なった休日に、長谷部は余村を水族館デートに誘うが…。
長谷部視点で紡がれる、大人気「言ノ葉ノ花」シリーズ番外編。
余村和明(CV.神谷浩史)
29歳。家電量販店のパソコン販売担当。以前、他人の「心の声」が聞こえ、人間不信に陥っていたが、現在はその能力をなくしている。
長谷部修一(CV.小野大輔)
24歳。家電量販店の生活家電販売担当。まじめでとっつきにくく無愛想。感情が表情には出ないが、裏表のない真っ直ぐな性格の持ち主。
小野大輔(長谷部修一)×神谷浩史(余村和明)
再生した瞬間に、誰の声が聞こえて来ずとも再び「言ノ葉ノ花」の世界観が蘇ってきました
。
音楽のおかげです。
BLCDのBGMって、他の作品でも聞いたことあるな~とがっかりすることもありますが、「言ノ葉ノ花」に関しては真逆。この音楽だからこそ言ノ葉だな~と思わせてくれる、静かで優しいピアノ
の旋律が流れて来ました。
心は懐かしさで満ちていきました。
私はこの作品を聴く少し前に本編を聴き直していましたが、例え発売された2008年2月以来聴いていなかったとしても、即あの時間が戻ってくる作りになっていることでしょう。
少なくとも「言ノ葉ノ花」において、音楽は作品そのものを表していると思います。
購入することが出来ない、ポイント交換商品だからこそ、それはどのような雰囲気なのかをお伝えできたらと、無い頭で色々考えました。
夕立が去った後の夜の気配がやってくる静寂
のように私は取りました。
それまで蒸し暑かったのに、夕立が去った後は空気も水分を含み少し落ち着いて、爽やかではあるけれどどことなく名残を残している少し不思議な感じがあるなぁといつも思っています。
雨のにおい
も大分薄れ、急な雨のせいか人通りもまばらになり、そうしたら木々がやけに青く存在感を放つようになったり
。
そこに長谷部のモノローグが入ります。
―俺は、心の中で物を考えて、完結してしまうところがある―
長谷部だ
というのが最初に浮かんだことでした。
長谷部@小野さんのモノローグは、感情を極力抑え、ある意味では淡々と、しかし普段会話している時の長谷部の印象から変わることなく、静かに進んでいきます。
同人誌を読んでいない私には同時に、今回は長谷部目線で語られるのだと知った時でもありました。
それから間もなく、ああ、ようやく彼の心の内にある余村への気持ちも透けてくるのだと、あるかどうかもわからないのにいくつかのシーンを期待しました
。
二人が水族館デートに出かけるというのが主な内容です。
最初、イルカショー
で水しぶきがバシャリ
と彼らに降りかかった時、私は始めから浸かっている空気感から目覚めさせられるような感覚を味わいました。
そうして、静かに彼らの会話に耳を傾けられるように。変わらない状態にありながら、より恋物語としての魅力に集中するようにしてもらったと気付きました。
効果音というのは作品を盛り上げたり臨場感を生み出したりという役割がありますが、この作品においては、しばしば聞こえてくる、例えば海のさざ波
であったり、水しぶきであったり、全てが作品の空気に統一感を持たせ作り上げる為の演出になっていました。きれいです。
もちろん、二人が海に行くシーンはきちんとあり、シーンに沿った効果音なのですが、一つの空気の中に閉じ込められ壊されることも消えゆくこともなく、いつまでも瑞々しく残るのです。
付き合ってまだ久しくないカップルのアツいお話なのではなく、人の心の声が聞こえるという特殊な力を題材にしたお話だからこそ描ける心情にも重きを置いていることが、聴いていくとお気づきいただけるでしょう。
余村が、心の声が聞こえないことが当たり前の世界に戻って数か月。付き合い始めて3か月。
長谷部は、聞こえない普通が未だどこか馴染まない微妙な揺らめきや、常人には理解しえない感覚や感情をさらりと普通の事柄を考えるのと同じように突き詰めて、余村の気持ちと、自分の心を読まれたくない気持ちをモノローグにしています。
穏やかな朗読を聴いているような気分になり、固まりつつある地に立ってマイナスイオンを吸い込んでいるような心地がしました。
なんと快い感動でしょう。
期待していた描かれ方の1つだったので一層聴き入りました。
デートの後、夜へと誘う余村と、妹が心配するから帰ると言う長谷部。無理に引き留められないと諦めかけていたであろうに、長谷部の唐突な言葉。
「あの……俺…あなたが好きですから」
「…………ひどいな、きみは」
長谷部にモノローグがありますから、なぜこの言葉が出てしまったのか、自然に受け入れられるのですが、余村の心中もまた察することができます。
「好きです」
この一言だけでもチケット5枚の価値がありました。
その空気感。
余村の次の言葉。
紡がれる小さな息の籠った間合い。
ドキドキします。
自然と口から零れたほろ苦い誘いに、恨めしくもやきもきもしません。
ああ、もどかしいなと、まるで詩のように綺麗に胸を打つだけです。
ただ、その間合いが名残惜しくもあります。ずっとずっと、一時停止できるならばしてしまいたい程の素敵な数秒。
唇は次の言葉の形さえも表す途中、の僅かな時間。
その感動。
CDでは止めてしまうことはできますが、それは違うのです。
触れ合い、夜は更けていきます。
次のトラックでは私が期待していたシーンの1つである二人の出会いが、長谷部目線で再度描かれていました![]()
この作品には長谷部と余村しか登場しません。
つまりは、小野さんと神谷さんの二人芝居なのです。
二人芝居とは本当に空気感が難しいと思います。
しかし、ここまで書く中で、繊細に演じて下さっていたというのをお伝えしたいと努めたつもりです。
加えて、お二人が言葉を紡ぐという部分にだけ意識を集中させて書くならば、あくまで私が感じたことですが、真っ暗な舞台上に立っていらして、スポットライトにぽつりと照らされているような
。朗読劇のように、言葉を大切に、癒しを与えてくださるように、聞こえることもありました。
同時に、例えば後ろにスクリーンがあり、ポートレイトのように。一瞬の長谷部と余村の表情が次々と切り取られていくように感じることもありました。
聴覚に訴えながら、視覚的にも楽しむことができました。
私が一番心に残った部分は、「好きです」だと思っていたのですが、今書こうと改めて思い出していると、余村が今でも心を読めていれば・・・と過ぎる長谷部のモノローグも同じくらい好きかも知れないと気付きました。
これだけ詰め込まれ、Hシーンも7分半ほどあり、32分でバランス良く描かれていると思います
。
ぜひ吸収できるものはできる限り多く吸収し、あなた様の耳で感じ取っていただきたい一枚です。
私は言葉にできないイメージを無理に言葉にしてみましたが、「言ノ葉ノ花」の世界が放つ唯一無二の空気感を、その正体は何であるのか、考えようともせず思ってみて、2度3度と繰り返しお聴きいただきたいです。
最後に蛇足を。
小野さんも神谷さんもまだBLできるんだな~と終始、とりわけHシーンでは思っていました。
もったいないなぁ~
・・・・・・
なんて。