橋の下に降りてみよう

「草がかなり伸びてますから気をつけて」

この橋、真ん中に橋脚を建てて2スパンとなってる

「それでめがね橋と言われてるんですね」

水を切るような形の橋脚や、桁をボルトやリベットで結合してる

「部材の一つ一つがわかりやすいですね」

アーチの所に軽く装飾のようなものもあるし、良い雰囲気だよ

「両側の柵のようなものも鋳鉄で面白いです」

道路脇になんか変わった橋が架かってる

「ちょっと寄ってみましょう」

真っ黒の鉄橋だな。でもちょっと形が。

「看板を見て下さい。羽渕鋳鉄橋とあります」

うむ、鋳鉄橋とな?

「今の鋼鉄橋の前にあった、鋳鉄で作ったものということですね」

形に趣があるね

「アーチ形状のコンクリート橋とは違いますね」

鋼鉄の鉄橋はトラスだったりでアーチは見かけないしな

「とても優雅な形です」

「ここは生野町の町中ですね」

なかなか雰囲気がいいね

「何か古い建物もありそうですし、1回停まりますか」

いや、停まったら数時間かかりそうな町だから、次にまた来る

「そうですね。良い日じっくり回る方が良いかもしれません」

「その後ろの車両は運搬車だと書いてます」

車台枠に木製の物置を載せたみたいだね

「何となくフレームの構造がよく分かって面白いです」

しかし何となく感じるこのアンバランス感

「頭でっかち尻すぼみのような・・・」

そうか、それだ。この車輪の軸間が異常に短いな

「ホントですね。前後にコテッと転けそうです」

そりゃ大丈夫だな、この車両、ブレーキ付いてない

「わお、ということは止まるときは」

機関車がブレーキ掛けて、後ろがゴンゴンと追突するように止まる・・・

「うわ、乗ってみたいです」

「生野銀山の入口ですね」

生野銀山は、初めてバイクツーリングできた場所

もっと前は、小学校か中学校の頃、見学に来たはずだな

「入口に小さな車両が置いてますね」

看板には一円電車と書いてるね。

「一円電車とは、ここじゃなくて明延鉱山から神子畑選鉱場への鉄道線ですよね」

そうだね、廃線まで一円で乗れたことから一円電車だって。

「もともと鉱石や作業員を運ぶための線路だそうです」

鉄道事業を目的にしたわけじゃなかったわけだ

「ついでに一般の人も乗って良いよ、というわけですね」

天端からのぞくと、ゾ~っとするくらい高いな

「そうでしょ。一番下で勢いよく水が出てるのわかりますか」

みえる。すごい勢いだな。反対側の壁にぶつかってる

「その向こうに少し弱めに排水されてるのもわかりますか」

「あれがつい4年前に設置された小水力発電所の排水です」

え、生野ダムも発電してたのか

「はい、放流水を利用して、ダムで使う電力を賄うのと、余剰分を売電します。」

どこに発電所あるのかな

「下の敷地に真四角の建屋があるでしょ?それです」

うわ、意外と小さいな。大して発電できないのでは?

「500KW級の発電能力で約700世帯分の電気を供給できます」

いや、ダムはどこに行ってもこの高さがすごいね

「生野ダムは重力式コンクリートダムという形式です」

つまり堤体の重さによって水の圧力を受け止めているということか

「その通りです。比較的強い基礎岩盤が必要で、ちょっと場所を選びます」

コンクリートたくさん施工するから思いのか。逆に長所はなんだろう

「ダムの形式の中では頑丈で地震や大雨に強いといわれています」

【2022年6月1日 生野ダムにて】

ダムの堤体が見えてきたぞ

「生野ダムです。1970年着工、1972年竣工

市川の治水と利水確保の多目的ダムです」

市川は昔よく氾濫したらしいね

「それと姫路方面の人口増加と工業地帯への供給で利水確保が必要でした」

そのひとつがこの生野ダムということか

「さっき近くを通った黒川ダムの発電も含めて、重要な水系となりました」

【2022年6月1日 生野ダムにて】

湖が見えてきたな

「銀山湖ですね。バス釣りで有名だそうです」

ボクは釣りをしないからわからないなぁ

「そうでしたね。オーナーはバイクに乗って走るしか能がなさそう」

それは言い過ぎやろ。否定も出来ないけど・・・

「銀山湖は周囲約12キロのダム湖で、生野銀山にちなんで銀山湖と付けられたそうです」

水が波を立てずに静かな湖だな

「今日は風が穏やかですからね」

【2022年6月1日 銀山湖にて】