(バローの終章No.1で、紛失メガネのことです)


8月11日、新田次郎の『アラスカ物語』、ロアルド・アムンゼンの『ユア号航海記』、植村直己の『北極圏12000キロ』、星野道夫のアラスカの世界、ドキュメンタリーDVD”Polar Explorer"などのイメージを胸に、飛行場からポイント・バローまで、1日の旅でしたが、ずいぶん様々な経験をしました。時間の経過が、そのまま僕の喜びの蓄積でもありました。


クック船長はここまで来られなかった、とアラスカ編の冒頭で述べました。彼の船が、マストと水漏れの修理でかなり時間が掛かりましたので、それがなければ、もしかして彼もバローくらいまでは来られたかもしれません。しかしながら、当時の帆船では、無事に帰れたか、ちょっと疑問です。


などなど、あれこれと思い出しながらバロー飛行場を後にする時には、ちょっと鼻腔を刺激するものがありました。


バローの町にさようなら





運転手さんにとても感謝しています。彼のおかげで最北の、いくつかのドラマを含んだ、ポイント・バローを眺めることが出来ました。ついでに、ここでメガネを失くし、面白い体験をすることも出来ました。


タクシーの運転手さん


下の写真の辺りでした。車の後ろの方が少し高い堤になっています。ちょっと大きな粒の石の堤でした。ここを上って、向こう側の、細く左に伸びたポイント・バローを眺めようとして、カメラを右手に上り始めました。その時、ズルズルと滑り落ちそうになり、フードジャケットのおなかのポケットからメガネを落とした、ようです。~で、紛失メガネの件は、後で、婦人警察官に訴える(?)ことになりました。


自動車道、最北の地点     ポイント・バローを望見    


岬から町なかに帰り、運転手さんにレストランを教えてもらい、コリアン・レストランに行きました。運転手さんの知り合いのようで、お店に入る時、彼も一緒に行ったからでしょう、ウエイトレスさんたちは、僕に親切でした。


このお店は、イヌピアット・ヘリテッジ・センター博物館の近くです。前の大きな通りを横切るとスーパーがあり、さらに2、3ブロック先の角を右に曲がると、すぐ左側にあります。駐車場があったり、広いスペースですからすぐ見付かります。レストランの写真がなくて残念です。


バローの幹線道路?             博物館前のクジラ


 レストランでは、目の前のお客さんが、おいしそうな「焼きそば」を食べていましたので、僕も頼みました。食べてビックリ、です。日本の中華ソバ屋さんで食べるような、細麺のソース味で、完璧でした。


ウエイトレスさんに、なぜこんな味を出せるのか、日本人のコックさんがいるのでは、と尋ねてしまいました。


~で、彼女のお話しが続きます。オーナーが韓国人で、日本の味もよく分かるから、と教えてくれ、さらに(!)何故にこんな話になったのか疑問ですが、彼女は婦人警察官で、暇な時には、ウエイトレスとして働く、ということまで話してくれました。とても親しみのある婦警さんなので、僕も気楽に、楽しい雰囲気で、「では、今は警察官として聞いて下さい。実は、ポイント・バロー辺りでメガネを失くしたのです。誰かあそこでメガネを拾った人がいたら、それは多分僕のだから、もし使えたら使ってもらい、だめなら捨てて下さい」と頼みました。