■崩れる足音
この秋、委員長になった。
周りは既に管理職である。まあ、せっかく委員長になったのだから、様々な職場の改善をしたいと思っている。
就任早々、幼稚園職場の担任(嘱託職員)が1学期で退職したというビッグニュースが飛び込んできた。
年度途中で辞めるのかという非難もあるだろうが、辞めた先生にも思いはある。その声は拾う事はできなかったが、正規と非正規の処遇の問題は根底にある。
今は園長が担任を兼務し、戦場のように忙しい。年度途中から先生を探しても見つけるのは容易ではない。
知人の主婦に声をかけたが、「ありがたいけど、違う幼稚園で働いている」とのこと。「ジョニーさん以外にも何人かから連絡あったよ」と話す。
10月、前日まで趣味の話で盛り上がった友人の係長が突然死した。
以前から様々な場面で寝る姿を頻繁に見ていた。激太り、睡眠時無呼吸症候群も確認されていた。健康には留意しなければならない。
翌日からはバタバタしているものの、仕事は回っている。労働者とは歯車の一部なのだ。今は係長業務を課長が兼務し、課長は「明日は我が身」と嘆いている。
私も息つく暇もない。年間50を超える消防行事に加え、台風18、21、22号は通常業務を邪魔してくれた。おかげで10月、11月の残業は大台に乗ったが、とにかく休みたい。委員長も弱音を吐きたい。
■学生との対談
そんな心境の時期に娘からラインが来た。
「ハナが町づくりを卒論にしたいから話したってー」
中学時代からハナはよく家に遊びに来る活発な女子で、4回生。社会学者の宮台氏の流れを組むゼミに所属している。
早速、家に招き、役人から見た町づくりを数時間語った。社会福祉協議会、同期、後輩、集落のリーダー等、様々な人ともセッションし、現場の声も届けた。
ハナは「みな町を存続させたいのかと思っていたのに、考え方はバラバラで、今までの思いと違い、頭が混乱してる」「卒論をどうまとめたらいいのかな・・・」とかなり悩んだ。
皆が町を盛り上げるために一つの方向に向かって進んでいるのだと漠然とした思いを持っていた。後輩(隣接市居住)との対談では、「採用されるまで、この町の事は知らなかった。駅近くに住んでいる今の環境がよい」同期の係長は「合併して市になってもいいと思う人は多いのんちゃうか。知らんけど」と言う。
郷土愛が無いという事がハナに伝わった。
「元気なひとは少ないよ。見渡してごらん」と白い巨塔を案内した。
ハナは気づかせてくれた。
後輩と同期の本音が聞けた。二人とも町にはさほど愛着が無い事が容易にわかった。
後輩はサービス残業ばかりしているし、同期はワンオペ状態だ。
後輩は、わざわざ席まで来て「ハナのような子が役場に採用されたらいいのに」と言った。「採用が決まっている銀行はたぶんブラックだから、さっさと辞めてこっちに来たらええな」と返答した。
キラキラ光る目で、一生懸命に聞いてくるハナと、うつろな目をしている白い巨塔の中の人は対照的だった。
まちづくりを考える前に、限界公務員職場を見直す方がてっとり早い。
これはすべての市町村に向けて言える事である。