走行時の耳障りなエンジンノイズを改善したお話しです。
Youtubeに当該ノイズが聞こえる動画(海外2022年モデル)があったので拝借します。開始位置1:24の発進時にエンジン音と並行して甲高くカラカラと鳴るのが聞き取れます。私の2019年モデルと全く同じ症状のため年式によらない可能性はあるようです。
この症状はアイドリング時に発生せず,特にゼロ発進や低速状態からの加速時において顕著に聞こえます。車両の個体差により,ノイズが大きいor小さいorほぼ出ない,とバラツキがあるようですが,愛車のそれは私のテンションが急降下する悪魔の囁き。
以前,ディーラーへ相談したことがありその際の回答を簡単にすると「故障ではなく仕様と思って気にしない方が良いですよ」とのこと。
当時は諦めましたが何か手掛かりはないものかと海外Web情報を探していて見つけたのが下記のGSフォーラムサイトのスレッド。
https://www.r1200gs.info/threads/strange-r1250gs-engine-noise.48713/page-9
このスレッドはR1250GSのエンジンノイズについて議論しており,リンク先の少しスクロールした位置にある次の投稿をはじめとする内容はまさに欲していた情報で改善策が示されていました。スレッドが長い理由はノイズ全般を扱っているため投稿内容が多岐(アイドリング時に左シリンダーからカチカチ鳴る件など)にわたります。
私なりの解釈を含めて原因と改善策などを抽出すると次の具合。
- ノイズ発生源はスロットルボディのバタフライで,吸気バルブの往復運動から生じる圧力波がバタフライを振動させるためノイズ(振動音)が発生する
- 改善策はスロットルボディの取り付け角度を調整して圧力波の当たる位置を変えること
- 調整方法は,車体を真上から見たときの中心線(縦断方向)に対してスロットルボディを直行90°から少し角度差を設けること
- 車両の工場出荷状態は直行90°付近で取り付けられている
- エアクリーナボックスなど空気吸入路を空気が流れた際に生じる吸気共鳴の可能性もある
上記は海外GS乗りの個人的見解ですが,藁をも掴む思いからモノは試しと愛車のスロットルボディの取り付け角度調整と、さらに吸気共鳴の抑制に何かしら効果がありそうなエアフィルタ交換を施してみました(両方一気に作業)。
まずはスロットルボディ回転のためガソリンタンクとエアクリーナボックスを外してから作業スタート。
スロットルボディを拘束する金属製ホースクランプが邪魔なので取り外し。おそらく専用工具は存在すると思いますが手持ちのプライヤーを駆使。
右側回転前,赤線の角度を変えます。
右側回転後(時計回りで少し回転)
左側回転前,赤線の角度を変えます。
情報にあったとおり回転は低角度です。これ効果あるの?と疑念がわくのを放置してエアフィルタ交換へ移行します。
エアフィルタは既にK&N製を取り付けていたため、別メーカのSprint Filter製を選びました。Sprint Filterはヨーロッパのラトビアに本社を構える有名なフィルタメーカーで、2輪ではMotoGPレプソルホンダ オフィシャルスポンサーやDUCATIオフィシャルサプライヤ等に名を連ねています。
Sprint Filterのおしゃれな化粧箱。
中身はエアフィルタ本体,金属ステー,ステッカー2枚,何故か同じ内容の説明書2枚。
購入した型番はK142S P08。
これは純正交換用のストリート仕様で,他には撥水性のあるオフロード仕様と吸気量が大幅向上するレース仕様が存在します。
(公式サイトの製品検索では当該型番がヒットしないため未反映の模様)
SprintFilter K142S P08の主な特徴
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超微細な乾式単層ポリエステル繊維を使用
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純正品と比較して空気吸入量の増加かつ集塵性能が向上
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空気が通過する際の乱流を抑制
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メンテナンスはエアガンによるダスト吹き飛ばしのみ。水洗い可,クリーナやオイル塗布不要
エアフィルタ交換作業は容易(ただし自己責任)。Youtubeから作業手順の同じR1200GS Adventure(水冷)の動画を拝借。
交換前のK&N BM-1113 (湿式4層コットン)。純正品と同等の形状。
交換後のSprint Filter K142S P08(乾式単層特殊ポリエステル)。
単層のため写真の角度では奥側が透けて見えます。形状は逆台形型,見た目のインパクトゆえ期待感が膨れ上がります。
底部に見える水面のような部分はフィルタ終端を束ねる艶々なゴム板。
エアフィルタ交換も済ませ,効果のほどを確認すべく走行してみたところ次に記す良好な状態になっており大きく改善していました。
- これまでついて回った耳障りなノイズが激減
- 顕著だったゼロ発進ないし低速状態からの加速では微かに聞こえるか否かのレベルまで減少(フルフェイス着用時)
- 意識して聞くと気づいてしまう程度で,実質解決と言えるような状態
心に引っかかることは改善した理由で,スロットルボディ角度調整によるものか,エアフィルタ交換によるものか或いは両方のお陰なのか,エアフィルタをK&N製へ戻せば分かることなので近いうちに探ってみようかと思います。
とりあえず結果に満足したので一旦終幕と相成ります。
<2024年2月24日追記>
時間が経ちましたが、スロットルボディの回転角度に着目し、標準の状態と回転後で比較したところ、回転後の方がノイズの低減を感じることができました。
ただし、大きな差では無く、一定の満足感を得るにはエアフィルター交換との合わせ技が望ましいと思います。
<2024年3月6日追記>
心残りがあり、スロットルボディの回転角度を許容範囲と思われる中で最大限まで回してみました。回しすぎるとケーブル類に過剰な負荷がかかるため、余裕しろギリギリまで詰めてみた具合です。
その結果ですが、明確にノイズが減少しました。解消こそしませんでしたがデフォルト状態とは雲泥の差でトライした甲斐ありでした。