夏至の北海道 | 貧困と男根

夏至の北海道

北海道放浪編(六月十七日~二十三日)


17・18 大洗からフェリーで19時間。 
貧困と男根


前歯が欠けたをじさん達と雑魚部屋で酒瓶とごろごろ転がるやうな旅を想像してゐたが、快適な船旅。


ホテルが海に浮いてゐるような感じだつた。


サウナもシアターもある。


ゲームコーナーにパチンコがあつたが、禁パチ中のため近づかず。


引力は見えない力夏の波


波が波求めてをりぬ明け易し


納涼の甲板(デッキ)を星の墓場とす


海としか言へぬ所在地夏の星


海と闇一つにしたり水母浮く


サウナ後の裸身に雲の湧き来る



18 札幌到着


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最終日もここでやつかいになる。


晴れてゐると気持ちがいいが、風が若干冷たい。


噴水の側で眠つてしまひけり



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札幌の駅前のビルにあつたラーメン横丁。


もはやラーメンは東京で食べた方がうまいやうだ。


ラーメンを味噌か塩かで悩むとき糞といふ字がちらついて消ゆ



19 長沼
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午後からの長沼高校での事業に備へ昼食。


昼どきで混んでゐたので店の外で句作をして時間をつぶす。


午前中には近くの農園で林檎の氷室も見学させて貰つた。


よく冷えた林檎の甘みが忘れがたい。


水の音に近づいていく夏木立



蕗の葉のめくれテンタウムシダマシ



トラクター乗り捨ててあり夏帽子



白樺の精一杯の片陰り



白樺の見えるペンション牛を焼く




19 長沼高校
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そしてここが旅のメインの長沼高校。


二年生と三年生に俳句の授業をした。


一時間づつだつたので細かいことは言はずに作句して貰うた。


注意点は「恥部」を見せろとのみ。


自分の隠してゐたいことにこそ詩があると説明。


「今週中にしたいこと」として欲望をそのままテーマにしたが、


なかなか素直な声が出てこないので、急遽○○さんへといふことで


人名を詠み込むことに。


かつぜつもがらも悪いぞ北大路


なんて句もありましたが


その頭まじたまんない北大路 


なんて句も。


いろいろと下品な句も出て問題もありましたが詩歌の基本中の基本


リズムと挨拶


は理解してもらへたと思ふ。


また来年も行きたい☆


ブログ見た生徒がゐたら感想コメント下さい。



をじさんは嬉しかつたよ本当に若さといふはかくも恋しき



20 北大研究林
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輸入種が多いためか、緑の色が違ふ。


雨の所為もあつて全体的に淡い色調。


幌内川の水はおいしかつた。



霧雨の宿る葉先や閑古鳥


林道に唯一の白山躑躅


欧州の種欧州のみどりかな


湧き水の旨さを言へる雨の中


蜘蛛打ちて山小屋雨音ばかりなり


夏草は花を持たざり踏まれをり


樹の皮の齧られてゐる白夜かな


三日間女抱かねば雨の蛇


水紋は女の小言滴れり


水馬下手な情事のよく動く


砂利を踏む音の変はるや九輪草


この川の水は飲めます蕗の雨


重なると見ゆれば増ゆるみづすまし


生憎の雨ですけれど通し鴨


刑務所が定員に満つ旱星


21 浜益
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日本海側をドライブして漁港めぐり。


その場でさばいてもらうた海鼠が絶品。


女のゐない旅に精力ばかりがついていく。



にたあーとして死んでゐるカスベかな


夏至の日は未だ厚田昆布の中


一斉に帆立の開く夕立かな


乳首には使へぬ海鼠噛む力


海鼠腸や繋がつてゐる海と腸


蛸専門漁師捩り鉢巻す


蛸の頭(つら)手足なくても蛸の頭(つら)


廃船の海を恋ひをり浜昼顔


昆布より揺れて佇ちたる夏帽子


ハマナスの棘を知らざる立小便


チカの港竿を持つ人持たぬ人


ほろ酔ひの厚田昆布の中にかな


転がして決める海鼠の切るところ


アカシアの香と磯の香の鬩ぎ合ふ


夏至は今トンネルを抜け雨上がる


蛸の皮いつも女に騙さるる


流氷も氷発泡スチロール


受け入れるのみの平目の容かな


獲物待つ姿勢で冷凍平目なり


食へるものばかりが落ちて夏の浜


夕焼けて鴉のみ知る釣果かな



22 小樽
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二日酔ひのまま海岸線を小樽へ。


船の時間もあつて長居はできなかつたが町の雰囲気は味はえた。


食事はどれも高くて手がでなかつた。昨晩のすすきのがいけない。


夏雲の動かず我の動かねば