☆ユスユデー企画☆ 蝶 Vol.2
取材中、俺はジュンスを離さなかった。
いや、離せなかった。
いつも俺たちの距離は近いから別段変に思われることもなく取材は終了し、写真撮影でさえ上手くいった。(むしろ喜ばれた)
でも。
俺がうっかり油断してジュンスへかける体重が軽くなると、ジュンスがすぐに離れてしまうから。
その度にジュンスは俺の腰に手を廻して俺のベルトを握るしかなかったんだ。
ふわり
ふわり
ジュンスの足が床に着かない。
ふわり
ふわり
何かに掴まっていなければジュンスが浮上していってしまう。
「どうして」
「わからない」
朝起きたらこうなってたんだ。
ふわりと浮いたジュンスが俺を見下ろす。
俺は慌ててジュンスの手を引っ張って、腕の中に閉じ込めた。
絡んでくるジェジュンヒョンやスタッフを上手くかわしてジュンスをなんとか俺の車に押し込める。
後部座席にいるジュンスは、あの重いブレスのおかげか一応座席に座っているように見えた。
「…とりあえず病院に行こう」
俺はそう言ってハンドルを握ったけれど、ジュンスの強い拒絶の声がそれを止めた。
「ダメ。こんなのバレたら…それに治せる医者がいるかもわからないじゃん…」
俺はハンドルに突っ伏してしまった。
そうだ。医者にかかればなんだって治るわけじゃない。
こんな特殊な症状…病気かどうかかもわからない今、下手に病院にいって世間に知られたら、ジュンスはなんて呼ばれるようになるんだろう…?
「…ごめん。俺考え無しだったな」
「ううん。ユチョンが心配してくれてるのはわかってるよ」
そっと俺の肩にジュンスの手が載せられる。
温かなそれに勇気づけられたのは俺の方だった。
それから俺たちはこの症状について随分と調べた。
ネットを駆使し、図書館で古い文献を読み、医学に精通している知人や有識者にも話を聞いてまわった。
なぜこんなことを聞くのかと詮索する奴には「今度の仕事で…」と言えばわりと納得してくれた。
だけど、その成果はほとんどなくて。
「知らない」だけならいい。
知人の中には「そんな特殊な人間がいたら高値で売れる」などと非道なことを言う奴までいた。
もちろんそんな知人とはもう連絡もしないだろうけれど、ジュンスのことを思うといたたまれなくなって。
あの時、迂闊に病院に行ってどこかからこの話が漏れていたらと考えて背筋が震えそうになったりもした。
「…なんにも出て来ないねえ」
PCの前で椅子に固定して座っているジュンスが頬杖をついて言った。
ここ数日、体調不良を理由に仕事を停め、部屋の中に閉じこもっているせいかジュンスの顔色が悪い。
元々白いその頬には青い陰りが見える。
俺たちは今、四六時中一緒にいるけれど明らかに無理して明るく振る舞っているのはジュンスだ。
当事者のジュンスが無理しているのに、凹んでしまっている自分に腹がたつ。
ジュンスは「それがユチョンだからな」なんて笑ってくれるけど。
…ダメだダメだ。
俺は思考にハマりそうな頭を左右に振った。
「ちょっと休憩しよう」
そう言って俺は窓辺に立つと思いっきり窓を開けた。
その瞬間、初夏のちょっと生温い、だけど気持ちの良い風が大きく部屋を巡った。
バサバサバサ!
と資料が飛ぶ音がしてジュンスを振り向くと、椅子の固定ベルトが外れたのか、ジュンスがその風の流れと共に天井高く舞っていた。
「ジュンス!」
俺はとっさに机に飛び乗ってジュンスめがけて手を伸ばす。
ジュンスの手も俺にちょうど伸びてきてうまく掴んでそのまま引き下げた。
ドサ…ッ!
ジュンスを抱きしめたまま床に倒れこみながら、俺はジュンスの背中を思い切り抱きしめる。
この手を離したら、それこそジュンスが飛んで行ってしまう恐怖に駆られながら。
「…?」
…ふわっ…?
俺が触れているジュンスの丸い背中。
最近では痩せてしまって肩甲骨が浮いている薄い背中。
そこはなぜかふわふわと軽い手触りをしていて。
それに大きな違和感を覚えた俺は、ジュンスを俯せに床に張り付けた。
「ちょ、ユチョン?!痛いよ!」
浮き上がろうとする身体を必死で抑え、ジュンスが俺を振り向く。
だけど、俺はジュンスの背中にあるソレにから目を離すことができなかった。
なぜなら、ジュンスの背中には羽が生えていたから。
青い美しい模様の、蝶のような羽が。
to be continude
朔蘭社長すげ〜!!!
…とここで言ってみる(笑)
1話にコメントありがとうございます!
お返事より2話アップが早くなってしまってすみません。。
ちょっと地元に帰るので先にアップしちゃいました。
必ずお返事しますのでちょっとお待ちを。
ではでは〜