『白虎隊ザ・アイドル 』


2010年3月17日(水)~22日(月・祝)


脚本・演出:岡本貴也

出演:前田公輝・橋本淳・佐藤雄一・鈴木拡樹/滝口幸広・篠田光亮 ほか



ケ・セラ・セラ-白虎隊




ストーリー(公式より)

現代にタイムスリップした“白虎隊”!
矛盾だらけの世の中を彼らが“世直し”する!
その方法は・・・“アイドル”になること!?
奇抜なシュチュエーションに加え、現代の若者の社会背景をバックにした、新感覚エンターテインメント!“白虎隊”が歌って踊って“世直し”する!
それが「白虎隊・ザ・アイドル!!」
彼らが現代にタイムスリップした意味とは?





2週間も前に観劇した舞台なので、いまさらですが・・・

ずっとずっと、ひっかかっていて(笑)


自分の観劇記録として書くことにします






「白虎隊ザ・アイドル」は殺陣あり!歌あり!!ダンスあり?!

そして、笑いあり涙ありの見所満載な舞台でした♪



一番期待していたのは、abcの岡本氏の脚本・演出。

期待を裏切りませんでした!

岡本さんの脚本は面白いです。


・過去から突然現代に来てしまった白虎隊。

現代に適応する前の白虎隊の言動が、無条件に面白かったです。


・場面も役も違うのに、「逃げる女と迫る男」が3回出てきて、毎回、女を助ける白虎隊。

「逃げる女と迫る男」に関わってドラマが展開するところも、面白い。

迫る男が蛇のような、ねちっこさで好演していました。


・世直しをしたいという白虎隊の純粋な気持ちと、白虎隊を売り物にして儲けようとする業界のずるさは、人間の腹黒さや悪意をストレートに見せていました。

実際にこういうことあるよなぁって思いながら見ていました。

白の小道具と黒の小道具の使い分けが、観客にヒントを与えていました。


・事実の捏造やネットの恐怖がリアルに描かれているところは、まさに現代の風刺。事実とは違うのにネットで広まってしまった悪評には太刀打ちできない。

泣き寝入りの悔しさに共感して、立ち上がる強さに感動しました。


・城が燃えていると勘違いした弱冠17歳の白虎隊。

「短い人生だった」と言って切腹するオープニングと、現代を経験して、燃えているのは城ではなかったと事も納得し、現代を生きて色んな経験をした後に「長い人生じゃった。思い残すことは、もうない」と言って切腹するエンディング。

清々しい散り様に涙が止まりませんでした。


脚本が、面白くて、捻りがあって、何度見ても面白い舞台だと思いました。







キャストの皆さんも、10代の白虎隊の志士を大熱演していました。



前田公輝くん

初舞台にして初座長。

キャストの中で最年少、ただ一人の10代。

演じた「石田和助」は、医者の息子だが、白虎隊の一員として、心は武士であると自負している。捏造によるスキャンダルでアイドルの座を追われるが、心に曇りなし。現代人に利用され傷つけられた仲間をかばう。


初舞台とは思えない堂々とした演技でした。

主役としての華があります。

お目当ての俳優さんを見ているつもりが、気がつくと前田君ばかり目で追っていました。

千秋楽は、拍手が鳴りやまないため、ダブル、トリプル、もっともっと、とカーテンコールがありました。4回目くらいから、「これ・・・どうやって終わるんですか?」と、きょどっていたのがものすごく初々しかったです。



橋本淳くん

戦隊出身。ルドビコの「ROMEO」に引き続き舞台出演。

「篠田儀三郎」役。4人の白虎隊の中での隊長。真面目で、現代の誘惑に毒されない青年。


現代の誘惑に負けて、変わってしまう隊員に心を痛めている、一本気な隊長を好演していました。



佐藤雄一くん

現代のハードボイルドなバンドマン「山本カイジ」役。

番組のレポーターをやったり映画のちょい役で出演するタレント。

今は売れてないけどビッグになってやると野望を持っている。

和助が失脚した後、白虎隊の新メンバーとして加入する。


佐藤君は、美容室で金髪に染めている途中で呼び出されて、バラバンナイトに、出演していました。

背が高くて凄みがあります。

20歳なんですね。TVドラマ出演の経験もあり、「Pure Boys」で、活躍中。経験が豊富なせいか、貫禄ありまくり。

どうしても実年齢に見えませんでした(笑)



鈴木拡樹くん

現代にタイムスリップした白虎隊の中で、環境の変化に一番順応性のある「間瀬源七郎」役。

新しい物好きで好奇心旺盛、困っている女性をほっておけないフェミニスト。

考え方が柔軟で、現代の悪い風潮に割と簡単に感化されてしまう。武士としてのプライドがすぐに消えてしまい、世直しの志よりも快楽に明け暮れる。


女性に優しい役なので、絡まれている女性を3回とも一番最初に助けようとします。

女好きの設定なのでしょうが、拡樹君が演じるととても紳士に見えました。



滝口幸広くん

白虎隊の中で最年少の「飯沼貞吉」役。

貞吉は、源七郎同様、現代に馴染んで気持ちが堕落してしまう役でした。

切腹したが息が残っているうちに助けられ、生き延びます。


白虎隊アイドルを見て衝撃的だったのは、滝口くんが一番年少の役をやっていたことです(笑)

美貌のディテイルでは、どうしても高校生に見えなくて、部活の顧問の先生のようでした。3作連続出演で、役としての安定感があったせいだと思いますが。

今回は、白虎隊最年少の飯沼貞吉です。

本当に一番年少に見えました。

見た目も、声も若々しくて、一番可愛らしかったです。

10代の前田くんより、ちゃんと年下に見えました。

あなたにとってのアイドルは?と聞かれて「堂本光一さん」と答えていました。一気に親近感が沸きました(笑)



篠田光亮くん

現代人「クロベ勇」役。

売れないタレント。

和助の失脚と共に、事務所のやり方に愛想を尽かし、フリーになる。

和助に惹かれ、好意を寄せる。

自分の書いた脚本で和助と共に舞台を作り、やり直そうとする。


メインキャストの中では最年長。

「無駄に年取って・・」と劇中ギャグにされていましたが、はつらつとした舞台姿は、10代の役だって平気ですよ。

万年青年役が出来るオーラがありますね。

過去に戻らないで、と必死に和助を説得して、追いすがるところは、真に迫った熱演でした。

思わず涙・・・

勇の「和助大好きビーム」のおかげで、腹黒くて計算高い大人達が醸し出すイヤな雰囲気が、払拭されました。



今回の舞台では、前田公輝くんと篠田光亮くんが、良かったです。

実年齢では10歳違うんですね。この二人。

和助と勇。二人の心の交流、前向きな生き方、支え合いが、後半の暗い舞台の光明でした。

二人とも、演技が爽やかで、動きの切れがよいのが、舞台で目を引きました。

これからも注目したい役者さんだと思いました。