雪が降ってる。
あとからあとから落ちて来る、
真っ白いもの。
それはきっと、
自分自身ですら知り得ない
こころの端の端の、
世界の果てのような場所にも、
そっと、静かに降り積もるのだろう。
旅人のこころに降り積もる雪。
けっして濁ることの無い真っ白な世界に、
彼の本当のこころが、
大切に無造作に存在しているに違いない。
旅人と雪路。
彼らの出会いの時も雪が降っていた。
暗い闇の向こうから、二人の方へと
あとからあとから吹き込む白。
あの時の雪路にとって、
それは絶望的な冷たさだったろう。
旅人は温度を感じない分、
その美しさを純粋に受け取ることが
出来るのかも知れない。
血と雪。
彼の研ぎ澄まされた眼と、
からっぽなこころに、
それは一体
どんな感情を刻みつけたのだろう?
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「視覚探偵 日暮旅人」第6話の終盤。
旅人が撃たれたことを知らされて、
駆け込んできた雪路。
しかし、
彼の顔を見てはっと我に返る。
(雪路は知ってはならない
秘密を知ってしまったから)
それを真っすぐに見つめる旅人の顔にも
不安の兆しが浮かんでいるように見える。
(自分を見る彼の感情に、いつもとは
違う色が視えたから・・・?)
灯衣と亀吉を帰らせようとする雪路を見て、
旅人はきっと確信したのだろう。
ふいに思い出話を始める雪路に、
静かに言葉を返す。
「雪が・・・降ってたね」
そう、雪の白だ。
それは彼らにとって、
生涯忘れられない思い出になったに違いない。
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