囁く | 書架再生

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20140901失くした1000冊を取り戻す


宮部みゆき 『囁く

イラスト/杉田比呂美

デザイン/大久保明子

解説/北上次郎

出版社/文春文庫

 
■本文より■

「ねえ、ほんとにバカみたいな話なのよね。

「だけど、気の毒ね」雅子と二人でいるにしてはめずらしく、風の吹き抜けるような沈黙が落ちた。

今出川氏は走っていく。その顔に期待がみなぎっている。身動きできずにそれを見送った僕が、彼の商売と、彼を取り囲んで囁きかけていたものが何であったかを、〈やつら〉が彼にどうしろとそそのかしていたのかを悟ったその瞬間、雅子の勤める銀行の方向で、鋭い銃声が一発轟いた。


正直なところ、囁き云々については特段興味を持てず。ただ「幼なじみの間柄で」「二十年のつきあいになる」という「僕」と「雅子」の空気感が、「今出川氏」の人となりの描きようが、宮部みゆき節というのだろうか、面白い。


とり残されて (文春文庫)