落日湊かなえ 『落日』出版社/ハルキ文庫 ■本文より■思い出すのは、あの子の白い手。/忘れられないのは、その指先の温度、感触、交わした心──。//あれが虐待だったとは、今でも思っていない。…だけど、ファンレターは届いても、批判の手紙が届いたことはない。目の前で作品がおもしろかったと言われたことはあっても、文句を言われたり、石を投げられたりしたこともない。わたしはそっちを世間だと思ってる。…映画を撮ろう。撮り続けよう──。ちゃんと繋がってはいくけれど。先へ先へと強く惹かれはしなかった。魅力的な裏切りもなく。小さなエピソードの細やかな部分は面白いのに。全体的に何だかリアルじゃなくて。湊かなえだからこそ物足りない。この中のテーマを一つ、深く読ませて欲しい。湊かなえを信じているから、何度でも手に取る。