ありふれた愛じゃない | 書架再生

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20140901失くした1000冊を取り戻す

村山由佳 『ありふれた愛じゃない
出版社/文春文庫
 

 

■本文より■ 

第一章 月のしずく//真珠の輝きは、貝の苦しみから生まれる。

波間にかがよう黄金の粒子が、命ある巨大な布のように蠢き、皺寄り、破れては煌めきわたるさまを眺めながら、真奈は催眠術にかかったようにぼんやりしていた。

風に乱れる髪をおさえながら、彼女はまぶしい予感に目を細める。きっと、もう少しだ。あともう少し太陽に晒されたなら、軀ごと、タヒチの女になる。

 

無責任な一読者の独り言。

このタイトルがまさか、あのSadeの『no ordinary love』だったとは! 『love deluxe』のジャケットの方が余程、この作品の、私のイメージには合う。

文庫本と言えど完結した作品である以上、基本的には装丁を変更しないで欲しいと考えるが、この作品については、新装版が出たら買い直したい。