村山由佳 『ありふれた愛じゃない』
出版社/文春文庫
■本文より■
第一章 月のしずく//真珠の輝きは、貝の苦しみから生まれる。
…
波間にかがよう黄金の粒子が、命ある巨大な布のように蠢き、皺寄り、破れては煌めきわたるさまを眺めながら、真奈は催眠術にかかったようにぼんやりしていた。
…
風に乱れる髪をおさえながら、彼女はまぶしい予感に目を細める。/きっと、もう少しだ。/あともう少し太陽に晒されたなら、軀ごと、タヒチの女になる。
無責任な一読者の独り言。
このタイトルがまさか、あのSadeの『no ordinary love』だったとは! 『love deluxe』のジャケットの方が余程、この作品の、私のイメージには合う。
文庫本と言えど完結した作品である以上、基本的には装丁を変更しないで欲しいと考えるが、この作品については、新装版が出たら買い直したい。
ありふれた愛じゃない (文春文庫) 788円 Amazon |