目の前に橋がある
アーチ型のその橋は、青空に向けて伸びている
橋を渡りたくて
橋の向こうに行きたくて
そのために僕はいったい何を持っているのか
僕はそんなことばかり考えていた

陽が傾いてきた
目の前には夕焼けが広がり、青に赤が被さっていく
青と赤の境目を知りたくて
赤い空が恨めしくて
明日また来る青い空は自分の背中を押してくれる
僕はそんなことばかり考えていた

目の前には橋があった
目の前にはアーチ型の橋が、空に向かってあったはずだった
橋を元に戻して欲しくて
誰かに橋をまた建て直して欲しくて
右を見て左を見てあたりを見渡してみた
僕はそんなことばかり考えていた

今僕はここにいる
進みたい気持ちがあり、進むべき世界は四方にある
ただ動きたくて
動いたその後に何が起こるのかを知りたくて
橋も空も何も決めてはくれず決めるのは僕しかいなかった
そんな僕はもう考えるのを止めてただ歩いていた