公演が始まる前の束の間の空き時間
久しぶりに同じステージに立つ友人とふざけあって居るこの時間だけはヒョンのことも忘れることが出来る
僕にここ数日つきまとっている憂鬱を彼は知る由もないし相談なんて出来ないけれど いつもと変わらない笑顔で隙あれば僕をかまいにやってくる
それだけで僕の心は随分軽くなった
友達っていいなぁ
なんてしみじみ思って居るところに
「ねぇ、チャンミナ…あれって」
振り返った彼の目線の先を辿って
一気に僕のテンションはガタ落ちした
「ヒョン…」
数十メートル離れた所でヒョンとヒョンの古くからの友人の女子が肩を引っ付け合わせて座っている
ヒョンが耳元で何か囁いたかと思えば顔を見合わせて微笑み合い
女の子は座っていた段からヒョンの前にぴょんと飛び降り、ヒョンの頬を手で包んだり 両手で左右に引っ張ってみたり
ヒョンも顔を近付けてそれに応えて…
今がリハーサル中じゃなかったらキスでもしてたんじゃないか あの2人
「なぁあの2人って仲良いよな?付き合ってんの?」
彼の何気無い言葉に胸がズキンと痛む
とにかく彼がそんな疑惑を持つのにも頷ける光景が数十メートル先で繰り広げられていた
「チャンミナ…?」
ただその様子を食い入るように見つめていた僕を不思議そうにのぞきこむ彼が視界に入ってきて我に返った
「…僕は聞いてないけど…多分そうなんじゃないの?」
あんな甘いムード
なんかくやしいけどお似合いですよ
決定的な物を見た気がして僕はそんな自分にビックリするくらいショックを受けていた
「チャンミナ…大丈夫か…?」
「へっ?何がだよ」
「お、俺は彼女が出来たらちゃんとお前に一番に報告するから!そんなに落ち込むな!」
あんなに毎日一緒に居るのに知らなくてショックだったんだろ?
そんな見当外れな慰めの言葉と共に組まれた肩をポンポンと叩かれる
うん、お前はそう思っていればいい
だけど僕はもう
なんか色々と戻れない場所まで歩いてきてしまったみたい
はぁ~ 僕相当やばいかも
ヒョン
ヒョン
今すぐそこから僕を見つけて?
ねぇその目線
少し斜め前にずらしてよ
僕は あなたが好きなんだ