仲の良かった店長が異動…、心に大きな穴
 
 

2024年2月9日(金)

ドンクのS店長と私達は、5年以上の長い付き合い。
よく分からないけれど波長がとても合う。
ライカムに行く楽しみの一つ。そんな店長が異動する。

 

 

 

 

 

友人の一人が沖縄から去る: 想像以上の喪失感

 

 

沖縄で、フランスパンやドイツパンのような食事パンが、毎週安定して買え、味も安定しているところは

「ドンク(DONQ)」以外には知らない。

私達は、酸味のあるライ麦パン( ロッゲンミッシュブロート )が好きで、
1~2週間に1度、ホールで買っていた。朝食には欠かせないパン。

※ ロッゲンミッシュブロート:ドイツの伝統的なライ麦パン

 

 

今日もいつものように、ドイツパンを買いに行ったら、
「元気か~?」というような口調で、

 

 

明日で、異動やわ~。

 

 

と言われ、青天の霹靂(へきれき)。雷に打たれたみたい。言葉が出なかった。

 

 

今日、パンを買いに行かなかったら、お別れの挨拶も出来なかったということ?

この2週間、S店長の姿を見かけなかったので、気になっていた。バックヤードにいるか休憩なのかな?
 

 

異動のための引っ越し作業や、新居の契約、その他、引継ぎなどの挨拶回り…。

 

 

 

帰りの車の中、心に空洞が開いたような、、虚脱感。

「〇〇ロス」という言葉では表しきれない…。

沖縄で楽しく生活をする支えの一つが無くなってしまった…。

友人の1人が沖縄を去る…。

 

 

 

沖縄ライカムのドンクのS店長は、面白い個性を持っている。

パン屋が職業なのに、パンは好きではなくコーヒーも苦手。。

私達はパンが好きでコーヒーには妥協がない。

だけど、自分が苦手なパンについては食べ方を聞いてきたり、私達が何を求めているのか、細かいところまで聞いてくる。

サラリーマン店長とは全く違う。

 

 

自分の店という気持ちで仕事をしているので、私達のようなパン好きにはありがたい存在。

私達が知っているヨーロッパのパン、チーズ、バター、コーヒーの話をどんどん話す。タイに行った時は、ドンクタイ店まで足を運び、コーナーがあまりに小さく、隣のパン屋に飲み込まれていることや、ヤマザキのパン屋が日本のドンクのような位置付けになっている話をストレートに伝えた。

 

 

 

S店長は、職人としての魅力の他に、会話が上手い。常連客とのコミュニケーションを大事にする。

店長のジョークは「毒」が効いてきて面白い。「笑点」か、「綾小路きみまろ」みたい。

私たちはコレが大好き。

「パン」の悪口を面白おかしく言う。頭の回転が早く、地頭の良さを感じる。

 

 

キャラクターを動物に置き換えるとしたら「ガラガラ蛇」。

 

 

「ドイツの酸っぱいパン?ニオイが店にプンプン漂うし、オレの天敵やわー。
硬いレンガやん、あれ。美味しいという人の味覚が分からん。」
と、言いながら、最近はドイツパンが動くよいになってきたんよー、と嬉しそう。

 

 

 

世の中を斜に構えた話し方だけれど、根っからの仕事人間。

嫌いだというわりには、ドイツパンの歴史も知っていて、パンが重くて硬い理由も知っている。この間はグルテンの話で盛り上がった。

 

 

店長は朝早く、夜遅くまで働き、飲み仲間と朝方まで連日飲み明かす体力の持ち主。

沖縄の風土に合う人、沖縄にとても好かれてた人。

 

 

休日はほとんど取らない。たまに不在の時は店長会議で他県に行っていることが多い。

スタッフも私達も体を壊さないが本当に心配だった。

 

 

冗談で、「睡眠時間を確保するのに、住所をココに移した方がいいんじゃない、ベッドもここに置いて。」と言ったことがある。

 

 

いつ行っても店にいる。

明後日からいないのが、本当に信じられない。

 

 

 

出会いがドンクだったので、店長と客という僅かなラインはあったけれど、波長が合い仲が良かった。。仲間だ。

「いつか一緒にメシでも食べに行って…」なんて話もしていた。

9年間も沖縄ライカムに勤務していて、いつでも会える人だった。

「今日が会える最後になるかもしれない。」と思って接したことはない。

ずっとこの先もいると思っていた。

 

 

明日が最後の出勤。沖縄からいなくなるって、日本から海外に行くような距離を感じる。

「いつか一緒にご飯を食べに行って…」は叶わなくなってしまった。

もっと親交を深めたかったな。

 

 

 

 今日は注文したドイツパンを取りに行っただけだったので、スマホを持って行かなかった。

相手も勤務中、電話交換も、LINE交換もできなかった…。

異動先の店はアクセスが悪く、観光客が気軽に行ける場所ではない。

 

 

夫も闘病中の身、店長も知っている。今日の挨拶が本当の最後になってしまう気がしてならない。

多分、向こうもそう思って、辛気臭い別れを避けた、今日の対応だったと思う。

 

 
天真爛漫な人なので、向こうですぐに飲み仲間ができ、
常連客と新しい人間関係が築けるのだろう…。
 
 
 

S店長の思い出の中に「酸っぱいパンが大好きな変わった夫婦」の記憶が残ってくれたら嬉しい。。

 

 

今日の教訓、「一期一会」刺さる言葉だな。「人の出会いと別れ」

自分も歳を取ったせいなのか、人との別れがこんなに辛く重いものとは…。

 

 

夫との生活も永遠のものではない。たくさんおしゃべりして、その日その日を大事にしないとな。

 

 

 

「明日でココ終わりやわー。新しい店長、適当に料理してくれ~。ほな、さいなら」

 

 

そんなにあっさりと。受け止めるこっちの気持ちにもなってくれ。