矢野隆氏の「鬼神」(中央公論新社)という本を読みました。

 

「まさかりかついで きんたろう くまにまたがり おうまのけいこ

 ハイ シィ ドウ ドウ ハイ ドウ ドウ  ハイ シィ ドウ ドウ ハイ ドウ ドウ

 あしがらやまの やまおくで  けだものあつめて すもうのけいこ

 ハッケヨイヨイ ノコッタ  ハッケヨイヨイ ノコッタ」

で知られる童謡の足柄山の金太郎の話は、恐らく老若男女を問わずほとんどの人が知っていると思います。

 

という私も童話として足柄山の金太郎の話は知っていました。

しかし、この話は作り話の童話ではなく、源頼光(清和源氏の3代目)に見いだされた頼光四天王の一人、坂田公時(さかたきんとき)という実在位する人の幼少期のはなしだったのです。

この本を読んで初めて知りました。

 

源頼光や頼光四天王(渡辺綱、卜部希武、碓井貞光、坂田公時)は、丹波国と丹後国の境にある大江山の酒呑童子という鬼を退治したことで有名になります。

 

小説「鬼神」では、当時(平安時代)は都に住む人以外は人ではなく鬼と見なされていました。

菅原道長が宮中での地位を向上させ勢力を拡大するため、陰陽師の安部清明と組んで大江山に埋蔵が見込まれる銀と銅の採掘を目論み、大江山に住む里人を追い出そうと山の獣を追い払って生活ができないようにしました。

そのため、大江山に住む里人は長である朱天と茨木が中心となって、都の住民から食料や衣類を盗むようになり、それに対して菅原道長と安部清明は大江山に住む里人の長である朱天を酒呑童子(しゅてんどうじ)という鬼に仕立て上げ、朝廷は源頼光に大江山に住む里人(鬼)の征伐の勅宣を出します。

戦いの末、朱天は大江山に住む里人を助けるべく坂田公時と戦い、首を討たれてしまいます。

菅原道長と安部清明の私利私欲による陰謀のため、平和に暮らしていた里人が殺されるといういつの時代にも起こる権力のある者が民をいじめるというものです。

 

ネットで色々見てみると酒呑童子が都に来て悪事を働きそのために退治されるとは出てきますが、悪事を働くことになった原因や戦いにより大江山に住む里人を助けることは出て来ませんでした。

ひょっとしたら、これらは作家の矢野隆氏のフィクションなのかもしれませんが、ストリーとしては面白い設定だと思いました。

 

本に書いてあることはフィクションですので、全て正しいとは思ってはいないため、スマホ片手に人物や出来事を調べながら本を読んでいます。

そうして本やネットの中から今まで知らなかったことを新たに知るのは、楽しいものです。