↑そんなわけです。↑
でわ。。。
2008年8月
俺の本当の夏が始まった。
~真冬の夏~
第一章 新学期
「起立。礼。」
夏休み明けの今日は、半日で授業が終わった。号令の後の教室は賑やかなものだ。久しい友達との再会で笑う者、勉強を嫌がり項垂れる者、様々である。
まぁ、俺もその中の一人なのだが。
先生から夏休みについての作文を書く宿題が出された。
俺はこの夏、特に喜ぶ事も悲しむ事もない平穏な日々を過ごしていった。変わった事と言えば、古い友人が去った程度である。
家に帰ると親からの書置きが有った。
「冷蔵庫の中におにぎりが入ってるから食べてね。時間があったら卵と牛乳買ってきといて。」
まったく。母親は人使いが荒いものだ。仕方なく近所のスーパーに買い物に行った。
「っと!」
誰かに背中を叩かれた。
「やっほー!相変わらず時化た顔してるね~。」
「またお前か・・・。」
今のは「相川真帆」。保育園からの幼馴染で、高校生に中る今も一緒の学校へ通っている。
正直苦手な奴である。
「お前そういうことしかできないのか?」
「あら、じゃぁ別のことやってやる・・・よっ!!」
足部に強烈な蹴りが入った。さすがは空手の全国大会4位の成績といったところだ。
「お前は加減って言葉を知らんのか・・・」
「康亮もたまにはやり返してくれば?」
俺の名は「倉本康亮」。高校二年生の美術部だ。
こいつは幼少の頃から活発というか荒っぽいというか・・・とにかく元気に動き回っている奴だ。
「ところで、、、あんた何してんの?」
「ココ来てんだからわかんだろ・・・。」
「あ、そっか。じゃぁ一緒に行こっ」
「・・・。」
真帆は用事が有ると言ったきり、どこかへ行ってしまった。身勝手なところも相変わらずである。
帰り道で同じ制服の見知らぬ顔の生徒達が歩いていた。
俺はどちらかというと話しかけられるのを待つタイプなので、特に声も掛けなかった。
家では、母親が既に帰ってきていた。
「ただいま。」
「おかえり。ちょっと遅かったね。」
買った物を母親に渡した後にテレビをつけた時、階段からドタドタと音がした。妹の「真由美」だ。
「おかえりぃ~。なんかお土産は~?」
俺が帰ってくると毎回こうだ。
「勿論無いに決まってんだろ。」
「けちぃ~。」
頬を膨らませる妹。その仕草を無言で見ていた俺は、黙って妹に菓子の袋を戸棚から差し出した。
「わ~い!やった。」
菓子の袋を持った妹は、嬉しそうに自分の部屋へ戻っていった―。
続。