〜社会保険労務士試験の経験より〜

 

 競馬にはゴール直後から数分間、確定を待つ。当たったのに『審議』だとハラハラする。行政書士試験など資格試験にも『確定待ち』がある。

 2021年夏に受けた社会保険労務士試験は、試験場からの帰り道、駅で電車を待っているホーム上で、労働一般知識の選択式(労一選択)が5点中1点だと判明した。原則合格点は3点で、それ未満は『足切り』で不合格だ。

 2点でも補正によって『救済』されることが時にはある。しかし、1点では救いようがない。1点でも足切りから救ってもらえることが稀にはあるが、希望的観測だといえる。

 労一選択の足切りさえなければ合格していたから、継続受験を決めて、数日だけ休んで、勉強を再開した。不合格が分かっているのに、確定までの2ヶ月を無駄に過ごすのは良くない。合格率は1桁で、およそ15人から20人に1人しか合格しない。受験生の中で半歩でも前に出ておきたかった。

 そこで、労働基準法、労働安全衛生法、労働災害保険法、雇用保険法、徴収法及ぶ労働一般知識の労働科目を一通り復習した。


 労一選択は穴埋めで、しばしば労働関係法令の目的条文から出題される。第1条の条文のサビの部分の重要語句を暗記することが必要である。

 目的条文の暗記の過程で、令和3年の社会保険労務士試験の結果発表日を迎えた。午前8:30、ウェブサイトにアクセスして、労一選択であり得ない1点救済を祈りつつ結果を閲覧した。


あった!


 『奇跡』だとはもう思わなかった。そして、以後社労士試験の勉強をすることはなかった。

 しかし、確定待ちの期間に労働関係法令の総復習によって、知識が定着していった。


 まさか1年後に自分が退職勧奨を受けて、社労士試験で習得した知識を直接に自分のために使うとは想像だにしていなかった。


(行政書士編へつづく)